ハリヨを見るとティンバーゲンのイトヨの実験を想い出してしまう

ハリヨ

イトヨ

ニコ・ティンバーゲンの「動物の行動」より

ハリヨはトゲウオの仲間で琵琶湖周辺の滋賀県や岐阜県に生息しています。

トゲウオの仲間の南限と言われています。

水温が20℃以下の場所でしか生息できないようです。

2021.12.27づけのblogで「トゲウオのハリヨを海津市で見かけた」を書きました。

海津市南濃町徳田周辺の沼にウチワヤンマや鳥の写真を撮りに行った際、津屋川を越えようとした時、橋の欄干にハリヨ橋と書いてあり、ハリヨのデザイン化された絵も載っていました。

とても驚きました。

近くにハリヨ生息地があるというので通うようになりました。

養老鉄道の美濃津屋駅近くの津屋川の脇の湧水池です。

私はハリヨ公園と呼んでいますが、正式には「清水池ハリヨ生息地」といわれるようで、山県市にはハリヨ公園と呼ばれる場所が別にあるようです。

この清水池ハリヨ生息地は海津市の天然記念物になっていて、採取することはできません。

ハリヨと同じトゲウオの仲間でイトヨというのが、私にとって思い出深い魚なのです。

イトヨを使った研究で、ニコ・ティンバーゲンは1973年にコンラート・ローレンツ、フォン・フィリッシュと共にノーベル医学生理学賞を受賞しています。

その彼の本「動物の行動」(丘直道訳 タイムライフ・インターナショナル)でイトヨがジグザクダンスしながらメスを巣に誘って産卵させる行動、刺激と反応の連鎖で行動が完成する例にイトヨが使われていました。

この行動系列は生得的な側面も含めて形成されるもので、機械的な行動主義とは違うようです。

私は仙台に在住中に、偶然イトヨをサンフィッシュという店で手に入れました。

大きな水槽で飼ってみたのです。

すると春になった頃、オスは懸命に水草を使って地面に巣を作り出しました。

近くに腹が大きくなったメスが待機していましたが、オスは見向きもしません。

巣が出来上がった頃オスはメスをジグザグダンスで誘いました。

メスが巣に入るとオスが並行して入り込み、受精させたようでした。

その後別のメスも誘って同様にしていました。

巣から出てきたメスの腹は2匹とも小さくなっていました。

その後オスは胸鰭を動かして巣に水流を送っていました。

そんなことをしているうちに稚魚が孵って水槽内で泳ぎ始めたのです。

私は嬉しくなってしまいました。

ところが5月初旬になると水槽の水温が上昇してきました。

稚魚の体に斑点状のものが付き出したのです。

多分カビだと思われます。

冷凍庫から氷を取り出して水槽に入れてみましたが水温は下がりません。

結局は死滅してしまったのです。

今でもハリヨを採取して水槽で行動を観察してみたいと思いますが、水温が一定の井戸水でなければ無理でしょう。

採取もできないので、ハリヨ公園での野外観察しか方法がありません。

ハリヨを見ると、そんな昔のことが思い出されてしまうのです。

(トゲウオ科 イトヨ属)

カモ撮りこうちゃん