安定した生態位置を占めるようになった(?)セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウの花に集まるキタキチョウとテントウムシ

9月から10月にかけてセイタカアワダチソウが花を咲かせます。

昔は叢や畑全体がセイタカアワダチソウで被われているのを見かけていました。

その当時は叢や土手に生えていたススキの仲間が駆逐されて、セイタカアワダチソウが入れ替わってしまったのです。

近年ではススキの生えている叢や土手も見かけるようになってきました。

野草などの植物は季節の変化に伴って、時間的な棲み分けをしています。

冬にはセイタカアワダチソウも小さいままですが、9月頃になると背が高くなって黄色い花を一斉に咲かせます。

長良川土手では一面に黄色い花が咲き、壮観な風景を形成しています。

でもその土手の反対側ではススキの仲間もたくさん穂を出しているところがあるのです。

「日本の野草」(林弥栄編 山と渓谷社)には「各地の土手や荒れ地、休耕田などに大群落をつくる北アメリカ産の多年草。日本に渡来したのは明治のころだともいわれるが、今ではすっかり日本の秋の風景に溶け込んでいる。北九州地方では、炭鉱の閉山があいついだころ、猛烈な勢いではびこりはじめ、あたりを黄色一色に埋め尽くしたので“閉山草”と呼ばれていたという。」と記されています。

繁殖力が強い理由の一つには、他の植物の侵入を抑える化学物質を出すことによるアレロパシー効果によるものと言われています。

この化学物質の話はこのセイタカアワダチソウで初めて聞きました。

他にもマツ、ヨモギ、ヒガンバナ、クルミなども同じ働きをする化学物質(それぞれ異なるようですが)を出すようなのです。

この物質はセイタカアワダチソウ自身にも作用すると言われ、生育条件が悪くなると繁殖力も低下してくるようです。

同じ場所に生え続けていると、その数は減ってくると思われます。

セイタカアワダチソウがススキを駆逐した理由には、根が深くなり、動物の糞や死骸を栄養にできるなどの特性があったからだと言われています。

最近になってセイタカアワダチソウ自身が自分の繁殖を抑制するようになって、ススキの勢いとのバランスが取れて安定的な生態系を構成するようになってきたと思われます。

東日本大震災の時、福島県の浪江、双葉や富岡など浜通りの人たちが避難して、畑や田んぼが放置されたままになりました。

すると野生のイノシシの群れが畑や田んぼそれに町中を走り回っている様子がテレビで放映されていたのを想い出します。

イノシシの群れが走り回っている場所がセイタカアワダチソウに一面被われていたのです。

畑や田んぼや町が放置されると、どう変化していくかの実験をしているようなものだなと考えたことを想い出しました。

そんな環境の最初にセイタカアワダチソウは生えてくる植物のようです。

(キク科 アキノキリンソウ属)

カモ撮りこうちゃん