普通に見かけ食材になるフキ

東北では春になると山菜を採って楽しむ習慣があります。

昔は食材として春に出始めの新芽を食べたのですが、今では美味しい野菜がたくさん出回っているので、山菜は季節を感じ楽しむ位置づけになっているようです。

春の山菜にはタラの芽、コゴミ、ミズ、ワラビ、ゼンマイ、ウドなどと共にフキノトウもそんな仲間の1つといえましょう。

フキノトウ以外の山菜は、野山を歩いて探しまわりますが、フキノトウは崖っぷちや叢の端で見かけることが多く、フキノトウを探すというよりは、偶然見つけてついでに採って帰る感じの存在です。

蟹江のスーパーでも春になると、タラの芽やコゴミなどがパックになって売られています。

その産地が山形や秋田になっていると、とても懐かしく感じます。

値段はそれ程安い訳ではありません。

またフキノトウも売られています。

北では5月を過ぎフキが育ってくると、山にフキ採りに入る人たちがいます。

時には軽トラックで林道に入り、数人で刈り取るようにしてフキを採っていきます。

多分販売用の山菜として採っていくのではないかと思われます。

私も採って知人宅に持参したことがあります。

食べるまでの手間が大変だといっていました。

細い茎の皮を剝くのに時間がかかり、結局は半分の量ほどになってしまいます。

それに醤油、みりん、砂糖などを入れて煮詰めるのです。

そんな手間暇かけて出来上がると少量で、出来合いのフキの煮つけに比べると、小鉢に入る程度になってしまいます。

子供たちは香りが強い野菜は好きではないようです。

ニンジン、ピーマン、ニラ、セリ、セロリ、フキなどは食べないという子どもがいます。

私もそうでした。

ずいぶん昔、保育所を訪問したとき、午睡に入る準備をしている中で、一人の幼児が壁に向かって給食の食器を前に椅子に座っていました。

好き嫌いを直すために食べるまで放っていたようなのです。

今ではそんなことをする保育所や小学校はないようですが。

大人になってその香りものの野菜が好きになってきました。

フキノトウのテンプラやみそ汁の具ばかりでなく、フキ味噌などはご飯のおかずに最適です。

その微妙な香りや苦みのある味わいがとても好きになってきたのです。

嗜好が変化してきたのでしょうか。

世の中偏食はよくないといわれます。

でも多くの動物は偏食です。

肉しか食べないもの、草しか食べないもの、そして雑食のものなどがありますが、偏食が悪いとする理由は余り見当たりません。

しかも私のように時間経過と共に、嗜好が変わってくることを考えると、偏食を直すために強制することはやめた方が良いように思うのですが、いかがでしょうか。

そんなことをフキを通して考えてしまいました。

(キク科 フキ属)

カモ撮りこうちゃん