コフキトンボがゲージ内に閉じ込められている

飛島村三福では6月半ばになるとコフキトンボが発生します。

コフキトンボはシオカラトンボよりはやや小型ですが、雰囲気は似ています。

これまで天童市の原崎沼や永和の沼でコフキトンボを見かけてきましたが、これほど多くのコフキトンボが発生している場所は他に知りません。

ここには金魚養殖池があり、何年間も金魚を飼わずに放置されている場所があります。

1年中水が入った浅い養殖池がいくつも区画になって並んでいます。

産卵したコフキトンボの幼虫が生き延びるのに最適な場所と思われます。

近くを歩くと養殖池に浸かっている枯れ枝や、イの仲間の植物の茎にたくさんのコフキトンボがとまっているのを見ることができます。

6月のこの時期のコフキトンボを見ると、成熟が進んでいないからか、全てのトンボがメスではないかと思われる感じです。

メスは頭がダイズ色と黄色ですが、オスは頭が黒いのです。

見たトンボのほとんどがメス状態なのです。

かなりのコフキトンボがいるのにコフキトンボの交尾態を余り見かけません。

メスがオスの成熟の度合いを測っているのか、それとも産卵場所にメスが訪れないからかも知れません。

ときどき交尾態を見かけても飛翔速度が速くて写真に撮れません。

そこから少し離れたところに、モロコの養殖池があります。

そこは12面に分かれた四角い池が並んでおり、その周りはネットで被われています。

大きなケージ状態です。

夏になるとそのケージに、カワセミが入り込んだり、ギンヤンマやシオカラトンボが入り込んで右往左往している様子が見られます。

でも一番多いのは何といってもコフキトンボです。

数年間見ていますが、ケージのネットは毎年取り換えられている様子はありません。

ここに閉じ込められているコフキトンボは、この養殖池の中で産卵し、羽化したコフキトンボではないかと思われます。

今年のオリンピックで海外から来る選手たちの行動をバブル(泡)に閉じ込める計画のようですが、このコフキトンボは毎年閉じ込められて、産卵と羽化を繰り返していると思われます。

広い外界とは違う閉じ込められた世界で一生を終わるのですね。

このコフキトンボをケージから逃がしてやれば、他に移動してコフキトンボが増えるのではないかと思われます。

彼らの一生を考えると、入り込む鳥を締め出すための仕組みとは言え、コフキトンボやギンヤンマ、シオカラトンボを大量に犠牲にしていることも少し考えてみても良いのではないかと思ってしまいました。

(トンボ科 コフキトンボ属)

カモ撮りこうちゃん