ハキダメギクは牧野富太郎が命名したらしい
ハキダメギク
タカサブロウ
蟹江では叢や雑木林で、この季節には小さなキク科の花を見かけます。
その花をハキダメギクだと思っていました。
でもハキダメギクは頭状花が黄色いのに、この花はそれよりは白っぽい感じです。
また茎につく花の数やつき方が少し違っているようです。
でもその花をたくさん見かけるので、ハキダメギクだと思い込もうとしていました。
図鑑で調べてみたらタカサブロウでした。
ハキダメギクではなかったのです。
花の大きさはハキダメギクよりは大きく、永和の雑木林ではたくさん見かけます。
そこでハキダメギクがないかと探しながら歩いて、やっと数か所でハキダメギクを見つけることができました。
ハキダメギクはとても汚い名前です。
こんなつけ方をしたのは牧野富太郎に違いないと思って調べると、やはり彼が命名者になっています。
植物の中には、綺麗とはいえない名前の植物がいくつもあります。
ハキダメギクの他にはママコノシリヌグイ、オオイヌノフグリ、ワルナスビ、ヘクソカズラ、ヌスビトハギなどがあります。
その中で彼が命名に関わっていると思われるのはママコノシリヌグイ、オオイヌノフグリ、ワルナスビなどです。
その他は不明です。
牧野富太郎が命名した時代には、色々な植物の地方名はあったものの標準名がはっきり決まっていないものや、外来植物で日本名がないものなどがあり、そこで名前をつけたのだと思われます。
科学対象としての植物名を記載する必要があった時代だったのでしょう。
ワルナスビについては、「植物一日一題」(牧野富太郎 ちくま学芸文庫)に「地下茎を引き除いても切れて残り、それからまた盛んに芽出って来て今日でもまだ取り切れなく、隣の農家の畑にも侵入するという有様。イヤハヤ困ったもんである。~中略~ この始末の悪い草、何にも利用のない害草に悪るナスビとは打ってつけた佳名であると思っている。」と記されています。
そんな名前をつけた牧野なりの理由が見てとれます。
EVERGREENには「ハキダメギクは熱帯アメリカ原産の一年草で、日本ではじめて確認されたのが大正時代、世田谷(東京)のゴミ捨て場でした。発見・命名者は日本植物学の父、牧野富太郎博士です。牧野博士は始末に負えない植物に対して意趣返しのごとく『ワルナスビ(悪茄子』と名付けるなど、ユニークな感性をお持ちの方です。ハキダメギクに関しては他意はないようでほっとしました。」と記されています。
外来植物の場合には、社会に通用する名前の意味を深く斟酌しないでつけられるのが長所かも知れません。
一般人の私たちが社会で通用する名前をつけられるのは、自分の子供の名前だけですもんね。
牧野富太郎が活躍した時代は、そうした面白い時代だったのだろうと推測しています。
(キク目 キク科 コゴメギク属)
カモ撮りこうちゃん