ギンヤンマのオスの縄張り行動で考えたこと

小さいときから親しんできたトンボにギンヤンマがいます。

夏になるとオスは田んぼ、用水路、沼の一角を縄張りにして、昼間飛翔し続けています。

その頃はギンヤンマのオスは草や枝にとまらないと思い込んでいました。

でも観察しているうちに、真夏の陽射しが強い時には田んぼや叢の葉陰にとまって暑さを避けているのを見かけるようになりました。

ギンヤンマのオスは田んぼ、用水路、沼や養殖池の一角を行ったり来たりしています。

その一角の隣りあわせには、また別のギンヤンマのオスが行ったり来たりしています。

飛島村三福の大きな用水路では、ある一角をオスのギンヤンマが飛翔しています。

縄張りだと思されるところを行ったり来たりして、時々は一か所に留まってホバリングしています。

川には境界線がないので、隣にいるギンヤンマと鉢合わせすることも頻繁です。

すると絡み合いながら空中高くに飛び上がってから、またそれぞれの縄張りに戻ってきます。

オスが縄張りを持つのは、メスが入って来るのを待ち受けているからだと思われます。

この縄張りがどう決まるのかはとても興味があります。

金魚養殖池の場合ならその一角は物理的に区切られているので、縄張り設定しやすいのですが、区画が広くなった田んぼや用水路では縄張りはどう決まってくるのでしょうか。

オスは生得的に縄張りを作る習性があるようで、物理的に制限がある場合なら自然と決まってくるでしょうが、用水路や田んぼの場合には、どう決まるのでしょう。

観察していると、その田んぼや用水路では、他のギンヤンマのオスも縄張りを作ろうと入り込んでいて、相手のオスとの関わり合いで範囲が決まっているようです。

オスは頻繁にある一定の空中上でホバリングしています。

そして他のオスが縄張りに入り込んでくると、素早く飛んで行って追い立てます。

頻繁に境界線上でやり合っています。

縄張りを持つ肉食獣やトゲウオなどの行動を見ていると、自分の縄張りから離れていくと、心理的な表現で言えば気弱になって攻撃性が減ってきます。

相手のオスは自分の縄張りに入り込まれるので攻撃性が増して、強く反撃するようになります。

そこでいつもの縄張りの境界線あたりで落ち着くことになるという訳です。

これらの動物の行動を見ると、人間の心理的な表現が適用できるような行動が見られます。

とても面白い問題です。

動物行動学では、こうした行動を刺激―反応の連鎖で説明しようとしています。

ギンヤンマのオスの、他のオスとのやり合いを観察していると、縄張り意識と呼べるようなものがあり、縄張りを守ろうとする自我のようなものさえ感じます。

人間以外の動物ではどのあたりから、人間と同じ心理的なメカニズムを想定できるのか、このギンヤンマの縄張り行動で考えてしまいました。

カモ撮りこうちゃん