サイカチは青年時代の想い出と繋がっている

サイカチを実際に見たのは後年になってからです。

仙台近郊にサイカチ沼という沼があり、学生のころ同級生が自転車で「サイカチ沼に行って来た。」とたびたび話していたのです。

私は行ったことがなかったものの「サイカチ」という名前が心に残っていました。

またサイカチはエゴノキと同等に石鹸代わりにできるとも聞いていました。

天童に住んでいたとき「舞鶴山の植物を見る会」に参加して、サイカチを初めて見かけました。

4月初旬の芽吹き前で、幹や枝の棘が大きいのと鋭そうなことに驚いたことを覚えています。

生えているサイカチ傍の掲示板には「天童古城のサイカチ」として、「サイカチは寿命が長く、何百年と生き抜いて大木になる。若木は食用になり、20センチほどの鞘状の実は、石鹸の代用になる。種子は薬にもなる。サイカチは城の周りなどによく植えられたといわれている。籠城した時に役立つとともに鬱蒼と繁って外部に誇示したり、鋭いとげは防御に適しているからである。山形城のお濠沿いに、樹齢五~六百年と推定されるサイカチの巨木が残っている。その昔、天童古城にもサイカチが植栽されていた。山形城を見習ったものと思われる。以下略」と記されています。

植える意味があったのですね。

EVERGREENには「サイカチはマメ科サイカチ属で、川原に多く生える雌雄同株の落葉高木。幹や枝にある大きな棘が特徴で、高さ20mになります。枝には短枝と長枝の区別があり、短枝には1回羽状複葉がつき、長枝にはふつう1~2回羽状複葉がつきます。複葉は14~24小葉からなり、小葉は長さ3.5~5㎝になり、葉軸は互生します。~中略~ 果実は長さ20~30㎝になる扁平な鎌形の莢果で捩れ、濃紫色に熟し、中には長さ1㎝の広楕円形の、黒褐色の種子が10~25個あります。」と記されています。

石鹸百科には「石鹸のなかった時代には、わが国では、洗剤には泡立ちのよいサポニンを含むムクロジの果皮、サイカチのサヤ、コメのとぎ汁、豆類の粉末やアルカリ分を含む灰汁などが使われてきました。」と記されています。その具体的な部分の概要には ①サイカチとムクロジでは表面張力低下作用および界面張力低下作用が洗浄性に寄与している ②液性はサイカチが弱酸性、ムクロジが中性 ③洗浄力はサイカチ濃度3.0g/l~4.5g/lおよびムクロジ濃度2.0g/l~3.5g/lでは標準洗剤の約50%弱の洗浄力 ということです。

昔の人たちは泡立ちが良いものを洗剤として使っていたようですね。

小学校の頃、学校で油脂と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を使って石鹸作りをしたことがありました。

私は長い間、塩酸や硫酸の方が苛性ソーダより劇薬だと考えていました。

後になって苛性ソーダの方がより劇薬ではないかと考えるようになりました。

よく小学校で苛性ソーダを理科の実験で子どもに扱わせていたものですね。今になるとぞっとしてしまいます。

(マメ科 サイカチ属)

カモ撮りこうちゃん