チガヤの白く輝く花穂は谷村新司の天狼(オオカミ)を想い出させる

春の終わりになると花穂を出すチガヤを土手や道端で見かけるようになります。

皆さんの多くも見かけているはずです。

単子葉植物なので、ススキやエノコログサ(ネコジャラシ)と同じ雰囲気ですが、でもその花穂がシルバー色で艶のある何とも言えない色合いなのです。

天童でも蟹江でも見かけました。

全国的に普通に生えている植物のようです。

蟹江の日光川の土手には晩春になると群生して咲いています。

野生動物の縄張りのように、植物は時間の経過に従って、同じ場所で異なる植物が順に生えて花を咲かせます。

一種の時間の縄張りと言ってもよいかも知れません。

このチガヤのシルバーの花穂を見ると、なぜか谷村新司の「天狼」の「あー、年老いた白き狼よ」の歌詞が思い浮んできます。

年老いて姿形が白い毛で被われ、その尻尾が白くなっている老狼のイメージです。

多分シベリアンハスキーからの連想かも知れません。

チガヤの咲き始めはとても魅力的ですが、花穂が成熟して風に飛ばされるようになるころには、ススキ同様に余り見栄えが良くありません。

このチガヤをどこで見たかという記憶が、その頃の自分を想い出すきっかけにもなっています。

「日本の野草」(林弥栄編 山と渓谷社)には「河原や畑の周囲など、日当たりのよい乾いた草地に群生する多年草。根茎は白く、地中を長くはい、節々から先の鋭い線形の葉をだす。晩春、葉に先立って花穂をつけ、のちに茎が長くのびて高さ30~80㌢となる。白い毛を密生した花穂が、一面に風にそよぐ光景は大変美しい。若い花穂は古くからツバナ(茅花)と呼ばれている。ツバナや白い根にはかすかに甘味があり、子供たちがよく口にする。小穂は長さ3㍉ほどで、長短のある柄の先に1個ずつつき、つけ根には長い絹毛がある。根は茅根(ほうこん)と呼び利尿薬とする。花期4~6月 生育地 野原 分布 日本全土。」と記されています。

ウィキペディアでは「分類学的にサトウキビとも近縁で、根茎や茎などの植物体に糖分を蓄える性質がある。外に顔を出す前の穂はツバナといって、かむとかすかな甘みがあって ~中略~万葉集にも穂を嚙む記述がある。かつて、茎葉は乾燥させて屋根を葺くのに使い、また成熟した柔らかな穂は火打石で火をつけるときの火口(ほぐち)に使われた。」と記されています。

昔からチガヤのこのような特性を知って利用してきたのですね。

昔の人々は自然の動植物と具体的な付き合いをしながら暮らしてきたことがよく分かります。

ある意味で羨ましいとも思ってしまいました。

(イネ科 チガヤ属)

カモ撮りこうちゃん