マガモの雑種ガモが群れと共に行動していた

11月27日付の「3年間続けてマガモの雑種の個体を見かけた」で、善田川の新大井橋付近にマガモの群れと一緒に雑種ガモが3年続けて見られたことを挙げました。

その雑種ガモは姿形からマガモとヨシガモの雑種のオスだと思われます。

善田川ではヨシガモは見かけないので、繁殖地でヨシガモとマガモが混在しているのではと推測しています。

「日本のカモ 識別図鑑」(氏原巨雄 道昭 誠文堂新光社)の繁殖分布を見ると、どちらもユーラシア大陸からカムチャッカ半島で重なっています。

繁殖地でマガモのメスとヨシガモのオスが交尾したと思われます。

というのは雑種ガモはマガモの他の卵と一緒に孵化して、親と種への刷り込み(インプリンティング)が行ったと思われるからです。

他のマガモがこの雑種を、「醜いアヒルの子」の童話同様、自分たちと姿形が異なる認識があるのか、仲間だと思っているのかは定かでありません。

越冬するカモたちは異なる種のカモが一緒に泳いでいても排除しません。

カモに限ればとても平和的な行動をとります。

11月27日時点では雑種ガモは群れに入りにくそうな感じがしていました。

この雑種ガモも3年目なので成熟してきています。

成熟マガモのオスの胸の赤茶色の色が濃くなるように、この雑種ガモもそうなっているからです。

本来なら繁殖行動に参加できる年齢になっているようです。

今回この雑種ガモは完全にマガモの群れに入っていました。

なぜかほっとしてしまいました。

心配になるのは番い相手ができて、子孫を繋げるかということです。

マガモを観察していると越冬中に番い相手を決めているように思われるのです。

野生動物の多くは繁殖行動はメスがその主導権を持っているといわれます。

メスに気に入られなければ番いになり交尾にまで至れません。

近くにたくさんのメスがいたことから、上手くすれば子孫を繋げる可能性もあります。

数年前に町の鳥やトンボなどの公開講座の講師を頼まれたとき、講座の後半の質問に「カモの雑種では、その子孫は続いていけるのか。」がありました。

その時「雑種同士が子供を作っていけるかどうかはわからない。ただ交雑が目、科、属、種のレベルによって、交雑しても子孫ができる可能性が違うのでないかと考えている。馬とロバの雑種のラバ、ライオンとトラの雑種のライガーなどは、同じ雑種なので子供はできるがその子ども(孫)できないことから、カモの雑種同士の卵が孵るのは難しいのではないか。ただ雑種と本来の親の種との交雑だと、子孫ができる可能性があるかも知れない。」と応えました。

調べるとマガモとヨシガモは同じ「マガモ属」なので雑種ができやすいのでしょう。

でも雑種同士の交雑の可能性は少ないように思ってしまいました。

問題として面白いけれども残酷な話ですね。

(マガモ、ヨシガモ 共にカモ科 カモ属)

カモ撮りこうちゃん