3年間続けてマガモの雑種の個体を見かけた

冬鳥としてやって来るカモたちは、前年に来た場所に来るのではないかと、以前にも書きました。

カモたちの越冬戦略は基本的には保守的で、その環境が大きく変化する場合を除いて場所を変えないようなのです。

なぜそんなことが分かるかというと、カモたちの中に雑種が見られます。

その雑種を観察していると、前年に見かけた同じ雑種カモが翌年にも見られることから、それを含むカモたち全体も同じ行動をしていると推測できるのです。

この雑種ができやすい原因は、冬鳥として同じ場所で多種類のカモたちが同居したり、北帰行した故郷でも同様の可能性があるからです。

チョウでは種類によって交尾に至る行動系列が異なっていることから、形態的に同じに見えるモンシロチョウやモンキチョウの雑種は見られません。

また交尾しても卵は孵化できない可能性もあります。

善太川の新大井橋付近に来るマガモの群れの中に、雑種だと思われるカモがいます。

その体つきの様子から、マガモとヨシガモの雑種のオスではないかと思われます。

この雑種ガモは3年続けて飛来してきました。

雑種と思う理由は、①嘴がマガモは黄色なのにこのカモは黒い ②尻尾の様子がヨシガモと似ている ③胸の様子はマガモに似ている ④足の色はマガモが黄色いのにヨシガモのように黒い ⑤飛翔中の翼鏡がマガモと同じ で判断しました。

この雑種ガモがマガモの群れと一緒に行動しているのは、恐らくマガモの母親が雑種ガモの卵を産んだのではないかと思われます。

そこでマガモとマガモの群れにすり込まれて(インプリンティング)、一緒に行動しているのではないかと推測されます。

観察していると、その雑種ガモはマガモの群れの周辺にいて中に入らずに、オカヨシガモやコガモの中にいることが多いのです。

入りたくても入れないような感じさえ受けます。

観察しているとカモはどんな種類のカモたちが近づいても攻撃しないで一緒に泳いでいます。

多分繁殖期でないことが原因かも知れません。

雑種ガモはマガモの周辺部にいてマガモの群れに付かず離れずの位置取りをしています。

人間なら疎外感や孤独感にさいなまれて苦しいだろうなと感情移入してしまうほどです。

人間なら話し合って群れに入れてもらうなどできるのでしょうが、野生動物の世界は何と非情なことでしょう。

私たちがペットを人間と同じ存在と扱っているのとは異なり、野生動物の世界は厳しく、同情は通用しない世界のようです。

そんなことをマガモの雑種を観察して感じてしまいました。

(カモ目 カモ科)

カモ撮りこうちゃん

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