オオタカを巡る野生動物と人との関わり合い

蟹江周辺で見られるタカにはトビ、ノスリ、チュウヒ、ミサゴ、チョウゲンボウ、オオタカやハヤブサなどが見られます。

でも猛禽類の代表と言えば、オオタカとハヤブサでしょう。

両者ともにハトやウサギなどの中型動物を狙います。

ハヤブサは年に一度くらいしか見かけないので、親しくなりたくてもなれないのが現状です。

それに比べてオオタカは冬になると、日光川と善太川の合流点のヨシ原や海屋の雑木林で見かけるようになります。

縄張りがあるのか2羽の幼鳥が空中でせめぎ合っている場面も見かけました。

オオタカは留鳥として同じ場所に居続けるものや、暖かくなると他地域に移動するものがあるようです。

蟹江周辺では夏にはオオタカを一度も見たことがないので、他地域に移動していると思われます。

「日本の野鳥」(叶内拓哉 安部直哉他 山と渓谷社)には、「繁殖期以外は1羽で行動するのがふつう。営巣は、毎年同じ巣を使う場合と、2~3個の巣を年ごとにかえる場合がある。採食は鳥類を主に、ネズミやウサギもとる。非繁殖期にはあまり移動しない個体と、鳥の集まる場所を選んで移動する個体がいる。」と記されています。

先日善太川の土手を歩いていたら、カメラ持参の自転車に乗った高齢者に出会いました。

色々話していたらオオタカの話が出てきました。

「木曽川沿いの樹木でオオタカが営巣し育雛している写真を撮ったんだ。そこには大勢の人が来ていた。撮った写真を中日新聞の写真コンクールに応募したら、2等になった。」と話していました。

私はその話を聞いて「日本野鳥の会が中日新聞に営巣中のヒナを撮った写真を賞に入れるのは、野生のオオタカなどの保護のために好ましくないと申し入れた。」という話をしたところ、「新聞社から電話が来た。」と話しましたが、悪びれた様子はありませんでした。

その理由を聞くと「その写真撮りの場に、日本野鳥の会の人も大勢撮りに来ていた。」というのです。

最近よく思うのは、ある一つの情報だけで良い悪いを判断することの危うさです。

この場合もそうでした。

その高齢者は「電話でヒナの保護依頼を岐阜県庁にしたら、野生動物なので自然のままにしておくしかない。」との返答で、「結局は親が巣を放棄してヒナが死んだ。」と話しました。

野生動物の世界に人間が大勢押し掛けて営巣や育雛を邪魔している状態を、単に紋切り型的な発想で「野生のままにしておく。」という思想はいかがなものだろうかと疑問に思い不思議に思ったものです。

本当かな!

(タカ目 タカ科)

カモ撮りこうちゃん