都会への出稼ぎを消滅させたケイオウザクラ

天童在住の時、知人の幼稚園園長が入園式に、サクラが咲いた花瓶を式台脇に飾りたいと花芽がついたサクラの木を、2週間くらい前から水の入ったバケツに入れて室内に置きました。

温度管理をして、無事に入園式当日に花が咲いた花瓶を飾ることができたそうです。

2月中旬に善太川と宝川の合流地点の土手下で、選定し捨てられて花芽がついたサクラの枝を拾ってきて、室内の陽当りのよい部屋に置いておきました。

2週間ほど経って膨らんだツボミが花を咲かせました。

花の大きさは小さくエドヒガンではないかと思われました。

しばらくすると花は萎み、木は枯れてしまいました。

山形ではケイオウザクラが有名です。

全国に出荷して正月に開花させることも可能です。

テレビ番組の背景に使われる花の中でも見かけたり、ホテルのロビーの花瓶でも見かけます。

サクラの時期の前にサクラを楽しむことができます。

このケイオウザクラは12月初旬に木を切って、室内のバケツに入れて温度調節をしながら、開花させる時期をコントロールします。

山形では置賜や高畠などの県南部での栽培が盛んですが、天童周辺でも栽培しているところは多数あります。

ケイオウザクラの栽培をすることで、都会へ出稼ぎしなくてもよくなったと言われています。

それまでは自動車工場や建築関係に季節労働者として働きに出かけていたのです。

ケイオウザクラは、中国系のミザクラを台木にしてヒガンザクラの枝変わりとして生まれたと言われています。

誕生させた人の名前の一字を取って付けたともいわれています。

12月頃から1mくらい切った枝を束ねてバケツに入れ、室温を加減しながら出荷時期を決めています。

寒さに当ててから、温室の温度を日中20度、夜間10度くらいにするそうです。

1月か2月なら20日間くらい、3月だと2週間くらいで出荷できるといいます。

ケイオウザクラは、細い枝が放射状に群生しながら出ている枝のつき方で、枝を切ってもまた翌年には出てくるという、とても生命力が強いサクラだといいます。

私は知人から3年間、咲く前のケイオウザクラを貰ったことがあります。

名古屋のイオンの花屋でもケイオウザクラを売っていました。

2月頃だったと思います。

なぜか懐かしい気持ちと同時に、東北の出稼ぎのことを想い出してしまいました。

1つの商品が人の生活を変えることを、このケイオウザクラを通して学びました。

ケイオウザクラって凄いなと思います。

(バラ科 サクラ属)

カモ撮りこうちゃん