昔のひっつき虫といえばオナモミ

最近では衣服にひっついてくるのは、センダングサ、アレチノヌスビトハギやイノコヅチですが、ひっついてくる想い出といえばやっぱりオナモミです。

このオナモミは、北米産(メキシコ)のオオオナモミで昭和初期に入ってきてから国内で繁茂し出しました。

小学校の頃はその実を、友達と投げ合ってセーターやズボンにひっつけ合って遊んだものです。

セーターは特によくひっつきました。

山形では「くっつきぼんぼ」といい、ひっつく機能はどの地方でも認識されていたのですね。

そのオオオナモミはほとんど見かけなくなりました。

蟹江周辺でも歩き回っている時に偶然見かける程度です。

何十年前には叢(くさむら)のそこかしこにあったのです。

外来植物は国内に入ると、繁殖力の強さで一気に生存場所を広げます。

しかし長年月のうちに在来植物との間に均衡ができて、広がり方が収まります。

セイタカアワダチソウも何十年か経つと落ち着いてくるかもしれません。

オオオナモミはキク科で風媒花です。

他の多くのキク科は虫媒花なのに、ヨモギやブタクサと同じ風媒花になった仲間だと思われます。

最初は茎の天辺に雄花がたくさん咲きます。

その時は下の雌花の実は小さくてよく判りません。

雄花が枯れてくる頃になると、雌花の実が大きくなってきます。

自己受粉しないように時期をずらしているようです。

永和の雑木林脇の畦道でオオオナモミを見かけました。

昨年も見かけたのですが、畦の草刈りで刈られてしまいました。

今年もオオオナモミが生えていて、刈られないかと心配していたのですが、茶色の実ができるまでに生長しました。

茶色になった実を小さい枝ごと折り取って、袋に入れて自宅に帰りました。

袋から取り出そうとするとひっついてなかなか取り出せません。

手で掴んだら皮膚が痛くなりました。

記憶していたよりも、痛さとひっつく力が強いと思いました。

お見それしましたという感じです。

実の中に大小の二つの種が入っていて、大きい方が早く、小さい方は遅く発芽する仕組みを持っています。

環境の変化に対応する二段構えの戦略なのですね。

実の棘(とげ)の先が曲がっているのでひっつくのです。

その原理を利用してファスナーができたと言われていますが、実際は野生ゴボウの実からの発想だそうです。

私にとって少年時代に遊んだ想い出と、オオオナモミは繁がっていて懐かしい植物と言えるものです。

(キク科 オナモミ属)

カモ撮りこうちゃん