雑種のカモにアイデンティティの葛藤はあるのかな?

日本に越冬のためにくるカモたちは、同じ川で何種類もが混在して生活します。

一緒に飛んだり、採餌したりしています。

多数で飛来するカモは同じ種で行動することが多いのですが、それでも周りには他種のカモたちがたくさんいます。

カモたちは故郷であるシベリアを含むユーラシア大陸やカムチャッカ半島で、産卵と育雛(いくすう)して秋に日本に越冬のためにきます。

故郷とは、産卵と育雛する場所だと考えています。

コガモは日本の滞在期間の方が長いのに、日本は故郷ではありません。

越冬中にオスは生殖羽になってメスを惹きつけようとします。

カップルを形成し越冬中に交尾しているカップルも見かけます。

他種のカモも近くにいるので、そのカモと交尾する可能性もあるでしょうね。

母ガモが故郷で雑種のヒナを産み、育雛して飛べるようになると、越冬の時期になり日本にやって来ます。

生まれた雑種の子ガモは、母ガモと他種の父ガモの習性や能力も受け継いでいるはずです。

カモの能力がどのくらい生得的な条件に規定されているのか分かりませんが、母ガモの種とは異なる能力を持つ、言い換えれば、生得的な能力に混乱が生じているカモということになります。

刷り込みによって、雑種の子ガモは母ガモの種に刷り込まれるはずです。

すると父ガモの種の能力は消失するでしょうか。

アンデルセンの童話「醜いアヒルの子」は刷り込み理論からすると、ハクチョウの元に戻るのはおかしいストーリーだと考えていました。

刷り込みは不可逆的だと言われていたからです。

でも本当なのかなあと思い始めました。

私が見かけた雑種は、善太川のヨシガモとマガモの雑種、五条川のヒドリガモとヨシガモ(?)の雑種です。

本来の種のカモたちと雰囲気がまるで違います。

カモたちに心理があるか、学習できるかと考えると、あるように思えるようになりました。

善太川のミコアイサは私が土手を歩いて行くと、飛び立とうか迷っている風情で、水面上を右に行ったり左に行ったりします。

マガモの群れ近くにいるこの雑種も、カモの群れに入れ切れない状況をみると、自分がマガモだというアイデンティティに疑問を持っているように思われます。

刷り込みの不可逆性といわれるものが、人間やチンパンジーのように学習能力で変化させられるのと同じ可能性を感じてしまうのです。

マガモとヨシガモはユーラシア大陸でも帰る先が違っているはずです。

ヨシガモの産卵と育雛に適した環境とマガモのそれが違っているとしたら、心理的に違和感や葛藤が生じる可能性があるのではないかと想像してしまいます。

姿や形の違いばかりでなく、心理的なアイデンティティや帰る故郷についても、雑種のカモは葛藤しているのではないかと、疑問を感じてしまいました。

ほんとかなー?

カモ撮りこうちゃん