成虫で越冬するチョウは南方系のチョウでないのかな?
昔からモンシロチョウやモンキチョウが蛹(さなぎ)で冬を越すのは知っていました。
この形が越冬するチョウの一般的な形だと思い込んでいたのです。
でも蟹江周辺でチョウの写真を撮っていると、1月や2月にもチョウを見かけることがあります。
その時は好天で気温が高い日なので、誤って羽化してしまったのだろうと思っていました。
それにしては数が多すぎます。
そう思わせたチョウがキタキチョウです。
キタキチョウは実は成虫(チョウ)のまま冬を越します。
チョウを知るにつれ成虫で冬を越す別のチョウも見かけるようになりました。
キタテハ、ムラサキシジミ、ウラギンシジミなどです。
私はこれらのチョウは南方系のチョウではないかと考えています。
元々の地域では1年中、産卵・蛹・羽化を繰り返していたのが、日本列島を北上していくうちに、蛹の耐寒性が弱く羽化できなくなってしまったのではないかと思われます。
その代わりに成虫のまま枯れ葉や照葉樹の葉の裏にとまりながら、冬の気温が高い日に陽ざしを浴び体温を温めながら冬を越す方が、本州の地域で生き延びる可能性が高かったのではないかと考えられます。
そして気温が高くなる春先を待って産卵するのです。
これらの4種類のチョウの本州での生息分布を「日本のチョウ」(日本チョウ類保全協会編)で調べてみました。
・キタキチョウ 九州から東北地方の秋田、岩手県あたりまで
・キタテハ 九州から北海道の渡島半島あたりまで
・ムラサキシジミ 沖縄から宮城県沿岸部、新潟県沿岸部あたりまで
・ウラギンシジミ 南西諸島から宮城県沿岸部、新潟県沿岸部あたりまで
これらを元に考えると、チョウの耐寒性や繁殖率などの違いを無視すると、キタテハが一番早く北上し、次にキタキチョウが続き、ムラサキシジミとウラギンシジミは後発のチョウだと考えられます。
またムラサキシジミやウラギンシジミは沖縄や南西諸島でも生息しているので、より南方系のチョウと思われます。
北上するのは容易でないようです。
それでも近年、地球温暖化で気温が少しずつ上昇しているので、これらのチョウにとっては北上しやすい環境になってきたと思われます。
愛西市の福原輪中ではウラギンシジミがクズの葉の裏にとまりました。
そんな習性があるようです。
陽射しを受ける時は葉の表に、他の時には何度も裏にとまりました。
上述の「日本のチョウ」には常緑樹の葉の裏で越冬すると書かれていました。
こんな習性が越冬の際に利用されているのでしょうね。
カモ撮りこうちゃん