ギンヤンマのオスの縄張り範囲で考えたこと
縄張りを飛翔するギンヤンマ
メスを奪おうと様子を見るギンヤンマのオス
交尾態でとまるギンヤンマ
多くのトンボのオスは、水辺で縄張りを作ってメスが産卵しに来るのを待ち受けています。
水辺にやってくるメスが産卵できる条件を満たしていることを知っているからだと思われます。
未成熟のオスとメスは同じ叢(くさむら)や林縁で隣り合わせでいても交尾態になることはなく、混在しながら生活しています。
なぜメスが成熟しているかいないか分かるのか、今のところ私には分かっていません。
オスが水辺でメスを待ち受けているとき、どの範囲までを自分の縄張りとして行動しているかを考えてみます。
シオカラトンボ、コフキトンボ、コシアキトンボ、ウチワヤンマやショウジョウトンボなどには縄張りがあるようです。
とまっている枝先近くに同じ種のオスのトンボが来ると、飛び立って追い払いまたその枝先に戻ってきます。
その近くにとまることはありますが、自分がとまっていた枝先を覚えているのにも感心してしまいます。
これらのトンボに比べると、ギンヤンマのオスは大きな空間を縄張りとしていて、その空間をグルグル巡回しています。
いつでも回っている訳ではなく、ホバリング飛翔して空中の一点に留まっていることも多いのです。
他のオスが来ると追い払うために飛んで行って、また同じ場所に戻ってホバリング飛翔しています。
その範囲は狭い川や用水路なら橋と橋の間、田んぼだとその1面が凡そ範囲です。
今では大型機械を入れるようになったので田んぼが広すぎて、全体をカバーできずにその一部の範囲だけで飛んでいます。
また幅が1m位の用水路でもギンヤンマが行ったり来たりしている様子が見られます。
飛島村三福の大きな用水路は川幅が4~5mほどあり、橋と橋の間も長いので、ギンヤンマが何匹もその間の空間を分けて縄張りにしています。
その空間の境目では2匹のオス同士が出会うとせめぎ合って、それからまた自分の縄張りに戻ることを繰り返しています。
こうした様子を見ると、オスって大変だなぁと思ってしまいます。
ときどき見かける永和の沼のオオヤマトンボは、午前中や午後のある時間だけ見かけます。
ギンヤンマのように定住している感じはなく、少し経つといなくなります。
でも翌日にはまた見かけます。
1カ所だけでなく何か所にも出かけているようで、それを縄張りと考えれば、かなり大きな範囲を縄張りとしていることになります。
メスが産卵しに来る水辺で待ち受ける子孫を繋ぐ戦略は、一番良い戦略のように思えますが、そう考えるオスがたくさんいます。
そこでオス同士の縄張りを巡る激しいせめぎ合いが起こります。
自然や神は、そこまでは配慮していなかったんだろうなと考えてしまいました。
(トンボ目 ヤンマ科 ギンヤンマ属)
カモ撮りこうちゃん