ツクツクボウシの交尾だと思ったのに!
小さい時から夏になるとセミ捕りにでかけたものです。
夏休み中は午前と午後にでかけていました。
捕虫網でなくタモ網で捕っていました。
セミは幹にタモ網をかぶせてから、飛び出す瞬間にさっと横に振って網に入れます。
何度か網を振ってセミが動かなくなると、網を手に届くところまで持ってきて掴むのです。
1つの技だったように思います。
永和の雑木林には、夏になるとニイニイゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシが鳴きだします。
セミは長い地中の生活から地上に出て、せいぜい10日前後で死んでしまいます。
地上にいる間に次の世代を繋ぐことが最大の使命です。
オスが鳴くのはメスに存在と、ここに来いというサインだと分かるようになりました。
ここ数年、交尾場面を見たいと思っているのですが見かけていません。
アブラゼミが木の幹で数匹が集まっている場面をたびたび見かけますが、じっと動かないままのことが多いのです。
またそこから飛んで行ってしまうことがたびたびあります。
どうも交尾のためのプロセス、成熟の程度や相性などがあるのではないかと思われます。
この雑木林ではツクツクボウシも発生しますが、アブラゼミほど多くはありません。
それでも他の場所に比べると多いようです。
毎年発生しているので、幼虫はこの雑木林の地中で生活しているのでしょう。
ある日枯れた木の幹にツクツクボウシが2匹とまっていました。
1匹が他の1匹に近づいて、それに乗りかかりました。
私はツクツクボウシの交尾だと思って動画を撮り始めました。
重なったツクツクボウシは重なりながら幹を回りながら上の方に移動して行きます。
そして天辺に着いた頃、その尻尾同士がくっついているように見えたのです。
やっと交尾している場面を撮れたと嬉しくなりました。
天辺近くで2匹は離れました。
ツクツクボウシの交尾は割りと短いのだなと思いました。
見たいと思っていた交尾場面をやっと撮れたという満足感に満たされた瞬間でした。
ところが家に帰って動画を見直すと、この2匹の尻尾が同じなのです。
どちらかがオスでどちらかがメスのはずだと思って見たのですが、どうも違うようです。
そこで図鑑で調べてみるとどちらもオスでした。
メスはしっぽに産卵管があってとがっているはずなのに、このツクツクボウシはそれがないのです。
乗りかかったオスは、相手がメスだと勘違いしたようです。
私自身もそれを見てがっかりしてしまいました。
「人には間違い、気ちがい、勘違い、分からないがある」と言いますが、ツクツクボウシにもあるんだなあと思って笑ってしまいました。
(カメムシ目 セミ上科 ツクツクボウシ属)
カモ撮りこうちゃん