ムクノキを初めて知った

永和の雑木林を歩いていたら、緑色と黒い実が生(な)っている木を見つけました。

数年間歩いていたのに全く気がつきませんでした。

鳥たちが冬を越すためには、木の実は必要不可欠です。

木の実にも好きなものから好きでないものまでランクがあります。

カキの実はどの鳥も大好きですが、ノイバラの実を食べているのをほとんど見たことがありません。

好きな実がなくなった時、非常用に仕方なく食べるのでしょうね。

これはチョウの幼虫でも魚でも同じ傾向があります。

「野鳥と木の実 ハンドブック」(叶内拓哉 文一総合出版)を見たら、ムクノキの実と分かりました。

ツグミなどが食べに来るようです。

「木全体が熟すと、いろいろな鳥が訪れて、すぐ食べつくされるほど好まれている。 ~中略~ 熟して黒っぽくなった実は干し柿の味に似ていて、私たちが食べても大変おいしい。」と書かれていました。

私もその黒い実を食べてみました。

確かに甘く干したプルーンのような味がしました。

その生っていた実も12月半ばにはほとんどなくなってしまいました。

ムクノキという名前は以前から知っていました。

椋(ムク)はムクドリにも、児童文学作家の椋 鳩十(むく はとじゅう)の名前としても使われています。

椋 鳩十の由来はムクドリからきたと思い込んで、彼の著作を調べましたがありませんでした。

関係はないようです。

ムクノキはクスノキの幹のように樹皮が裂けてゴワゴワした感じだろうと思い込んでいました。

調べたらケヤキやエノキと同じニレ科の仲間のようです。

ニレといえば舟木一夫の「高校三年生」の歌詞に出てくる木で、木の葉らしいイメージそのものの葉が茂る仲間です。

仙台の青葉通りや定禅寺通りのケヤキを見知っているので、そんな仲間なんだと思うようになりました。

ケヤキは固くて木目が綺麗なので、茶箪笥の用材として使われます。

その価格はとても高価です。

ムクノキの幹はケヤキよりはやや裂けていてざらついている感じに見えます。

ムクノキは木材として使われ、硬く丈夫なので農具の柄、もちつき用の杵や楽器材に、葉はざらざらしているので木材や象牙などの研磨剤として使われていたようです。

昔から身の周りにあって利用されてきた木だったのですね。

ムクノキを何度も見ているうちに、茎の根元が板のように分かれていることに気がつきました。

そんな特長を元にして、木を見たらムクノキかどうか調べています。

鳥たちが食べる木の実を介して新しい木を知ることができて、嬉しく感じるようになりました。

みなさんも是非ムクノキを探して見てくださいね。

(ニレ科 ムクノキ属 落葉高木)

参考文献 日本の樹木 林弥栄編 山と渓谷社

カモ撮りこうちゃん