山の中でアオキの花と実を見かけた

天童周辺で丘陵地帯や山に入ると、林縁とその近くで赤い実をつけた木に出会います。

小さいころ人家の庭で見かけたことがある木です。

蟹江に戻ってからも弥冨野鳥園の敷地内の樹木の中にもその木がありました。

アオキです。

天童周辺ではアパートから車で数分のところに、カタクリやウスバサイシンを探しに木々の間を歩いていて赤い実をつけたアオキに出会いました。

また天童高原の北面白山にいく登山道を歩いていく途中の藪の中でもアオキを見かけました。

赤い実をつけたアオキは冬になっても落ちないので目立ちます。

鳥たちの餌になると思われますが、美味しくはないのか、目立つのに食べられた形跡は余りありません。

「野鳥と木の実ハンドブック」(叶内拓哉 文一総合出版)には「照葉樹林内の林床を埋めるようにして生えていて、明るい雑木林にも生育する。赤く熟すのは早春で、他の木の少ない時期だが、ヒヨドリ以外の鳥が集まって採食するということはない。本州の日本海側に生育する、本種と同じ仲間のヒメアオキも同様で、鳥にはあまり喜ばれないようだ。私はどちらも口に入れたことはないので、味は不明。」と記されています。

鳥たちは積極的には食べていないようです。

私がアオキを気にするようになったのは、その茶色の花によってです。

目立ちませんが茶色の小さい花が群れて咲いている様子は見事なものです。

アオキはこんな花が咲くのだと気がつきました。

今では花が咲いているだけでアオキだと分かります。

そして人家でなくアオキを山中で見かけたことに驚いたのです。

似たような経験に山中でミツバを見かけたときも驚いたことを想い出しました。

ミツバは栽培種で野生のものはないと思っていたからです。

「日本の樹木」(林弥栄編 山と渓谷社)には「3~5月、茎の先の円錐花序に紫褐色、時には緑色の小さな花を多数つける。花弁は4個。雌雄異株。雄花序は長さ7~15㌢と大きく、雄花には雄しべが4個あり、雌しべは退化している。雌花序は長さ2~5㌢と小さく、雌花には雄しべはなく、雌しべが1個ある。果実は長さ1.5から2㌢の楕円形で、秋に赤く熟し、翌年の4月頃まで残る。変種のヒメアオキは北海道の南部から本州の主として日本海側に分布する。アオキより全体にやや小形で、若枝や葉柄、葉の裏面脈上に微毛がある。」と記されています。

私が天童周辺で見かけていたのはヒメアオキで、人家の庭で見かけるアオキに比べて華奢で優しいところが、風情を感じさせるのだろうなと思ってしまいました。

(ミズキ科 アオキ属)

カモ撮りこうちゃん