知立の八橋にカキツバタを見にいった
数年前の5月中旬に知立市八橋町のカキツバタ園にカキツバタを見に出かけました。
この八橋のカキツバタは、在原業平が「かきつばた」の五文字を句頭に入れて詠んだ「からごろも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもう」で有名なところで、高校時代に古文で習ったことをなぜか今でも覚えています。
園内の石碑には「八橋の蜘蛛手に流れる沢のほとりに かきつばたが美しく咲いているのを見て かきつばたの五文字を句の上にすえて 都に残してきた妻や子を偲び から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞ思う と詠まれました。この和歌は 平安時代前期の代表的な歌人 在原業平作として勅撰和歌集の古今集に撰ばれています。また伊勢物語の九段東下りにも採り入れられ 八橋の地が永く語り継がれ親しまれてきました。」と記されています。
ここは芭蕉も訪れて句を詠んでいて、芭蕉連句の碑には「杜若(かきつばた)我に発句のおもいあり(芭蕉) 麦穂なみよる 潤いの里(知足)」(知足は、鳴海の富豪で芭蕉の門下)とありました。
誰でも知っている尾形光琳作の「燕子花(かきつばた)図屏風」は、この八橋のカキツバタを描いたと言われています。八橋の謂れは八橋の蜘蛛手に流れる沢とは、四方八方に流れている沢に八橋を架けたところから、そう呼ぶようなったようです。
同じアヤメ科のアヤメ、ショウブ、カキツバタの区別がなかなかつきません。
今のところ3つの基準で判断しています。
1つの基準は水中、水辺、陸地のどこに生えているかです。
畑などに咲いているのはアヤメで、畑や庭で見かけるジャーマンアイリスはアヤメの仲間です。
ハナショウブの仲間は湿ったところに咲いていることが多く、田んぼの畦、水辺の近くの陸地で見ることが多いようです。
カキツバタは水面に茎葉を伸ばして咲いていて、水中の地面に根を張りそこから茎葉を伸ばして花を咲かせていました。
2つ目の基準は花びらの根元の違いです。
アヤメはその花びらの根元がアヤになっています。
ハナショウブは根元が黄色く、カキツバタは根元が白くなっているので、区別は簡単で分かりやすいと思います。
3つ目の基準は、ハナショウブは葉脈(中脈)が隆起しているのに、アヤメやカキツバタはそれがはっきりしていないという違いがあります。
愛西市の福原輪中の船頭平公園にもカキツバタが植えてありました。
紫色ばかりでなく白いもの、色の斑入りのものがありました。
そんな積もりで見ていると沼の周辺などでカキツバタをたびたび見かけるようになりました。
見れども見えずだったのでしょう。
カキツバタの花は清楚で美しく、古来から愛されてきた理由が何となく分かるような気がしました。
(アヤメ科 アヤメ属)
カモ撮りこうちゃん
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