キタキチョウが12月30日にハルノノゲシの蜜を吸っていた!
10月30日に見かけたキタキチョウ
キタキチョウのあれこれ
チョウの中には冬を成虫で過ごす仲間がいます。
私は小さい頃はモンシロチョウにしてもモンキチョウにしても、チョウは冬の寒さを凌ぐのに蛹になって過ごすのが普通だと思っていました。
ところが成虫のまま冬を越すチョウたちがいることを後に知りました。
例えば、キタテハ、キタキチョウ、ムラサキシジミなどです。
雪や寒風が吹きすさぶ時には、枯れ葉の下などでそれを凌ぎます。
そうやって春になると、越年草などの野草の花の蜜を吸いながら繁殖行動をするようです。
冬から春にかけてタネツケバナ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリなどが花を咲かせています。
昨年も正月2日に冬にしては気温が高く雨が降った翌日に、雑木林の南側の北風を遮る農道脇の叢で、キタキチョウが数匹飛んでいるのを見かけました。
その前にキタキチョウが冬に成虫で過ごすことを知るようになっていました。
なぜこんな時に飛んでいるのか不思議に思っていました。
それまでは成虫で冬を過ごす時は仮死状態になって新陳代謝を抑えているのだと考えていたのです。
そんな理由ではなく、気温が低くて活動ができなくなるので、仕方なく枯葉の裏などにとまっているらしいのです。
というのはキタキチョウなどチョウの仲間は変温動物なので、気温が零度近くになると活動できなくなるからです。
冬でも気温が高くなって風が強くないような条件の時には、飛び立って活動するのです。
当然繁殖時期ではないので、個体維持のためのエネルギーを得さえすれば良いのです。
皆さんは、そんな時期に花の蜜など手に入るのか疑問に思うでしょう。
ところがこの時期には、田んぼの畔にはホトケノザ、オオイヌノフグリなどが咲いています。
これらは越年草なので、秋から冬にかけても花が咲いています。
それらの蜜を吸えば、エネルギーが得られる筈です。
12月30日は永和の雑木林の南側に陽射しがあって暖かい日でした。
きっとキタキチョウに会えるのではないかと思い出かけました。
すると予想通り2匹のキタキチョウがいました。
飛んでから近くの枯葉にとまりました。
それからまた飛んで近くのハルノノゲシの花の蜜を吸い出したのです。
キタキチョウは、冬の間全くエネルギー補給をしないのではなく、時々暖かい日には活動しながら、花の蜜を吸ってエネルギーを得て個体維持をしているようなのです。
ハルノノゲシが冬のこの時期にも咲いているのは一見不思議なのですが、12月に入ると花が咲いているのをよく見かけます。
「日本の野草」(林弥栄編 山と溪谷社)にはハルノノゲシは1~2年草となっています。
こんな場所なら2月頃まで花を咲かせているかも知れません。
そんな花がキタキチョウが春まで生き続けていくのを助けているらしいのです。
(シロチョウ科 キチョウ属)
カモ撮りこうちゃん