イラクサ科のヤブマオの皮を剥いでみた!
ヤブマオとその花
ヤブマオに取りついた蛾の幼虫と蛹
イラクサの仲間は葉の裏が白く小さな刺が沢山生えています。
昔BBC制作のドキュメンタリーで、ベトナム戦争後にPTSD(心的外傷後ストレス障害 Posttraumatic Stress Disorder)で人間社会に復帰できないアメリカの兵隊の中に、アラスカの森やシアトル近郊の半島に一人で生活しているという番組がありました。
森で生活している人は木陰に眠れる空間を作って、その表を大きなシダを覆って分からないようにしていました。
その一人が言うには森は食べ物の宝庫だといい、ゼンマイやイラクサの新芽などは食用にするし、アメリカインディアンのように、長い行軍をするときにはイラクサの葉の棘を足に叩きつけると、だんだんと足が麻痺して痛みを感じなくなり、長い間歩くことができると話していました。
奈良公園にあるイラクサは、他の場所よりたくさんの棘があるように変化してきていると言います。
鹿から食べられないようにする防衛策らしいのですが、どの位の年月でこうなるのか知りたいものです。
イラクサの仲間は昔からアサと呼ばれていて、原料はカラムシです。
高さは1.5~2メートルほどで苧麻(チョマ)とか青苧(あおそ)と呼ばれ、その皮を使って衣類、紙や漁網などを作ってきたのです。
昔からカラムシは作られていて、上杉謙信は作ったカラムシ織を京で売って、藩の財政を潤わせていた。
上杉藩はその後会津、米沢と転封されていくのですが、そこでも作っていて山形県にもその生産地がありました。
私は会津の昭和村のカラムシ織を見に行ったことがあります。
値段は目が飛び出るくらい高価でした。
ウィキペディアには「本州では、福島県会津地方の昭和村が唯一の産地であり、国の重要無形文化財に指定されている『小千谷縮・越後上布』の原料とされている。」と記されています。
永和の雑木林付近の農道の脇にはたくさんのヤブマオが生えています。
数年前その葉に蛾の幼虫が取りついて葉がぼろぼろになっていました。
葉がなくなったヤブマオもありましたが、幼虫が羽化していなくなったら、そのヤブマオはまた葉を出して繁り出しました。
蛾の幼虫とヤブマオとのせめぎ合いだなと思ったものです。
私はこのヤブマオがイラクサ科の仲間だと知ってから、雑木林に来るとその茎を一本引き折ってその皮を剥いでみることにしています。
確かに他の植物の茎に比べると、ずっと長い繊維が剥がれるのです。
他のイラクサの仲間でも長い繊維が取れるようです。
茎の葉と葉の間の長さが長いほど、長い繊維が採れると思われますが、写真では苧麻(チョマ)を密生させて育てているようです。
背が高くなり葉間の長さも長くなるからだろうと推測しています。
その繊維の長さはヤブマオよりは長いのだろうかとも思っています。
どうなんでしょうかねー。
(イラクサ科 カラムシ属)
カモ撮りこうちゃん