サトウキビの和三盆を探しに四国にでかけた その2

和三盆畑(東かがわ市)

サトウキビ畑(黒海道 黒潮町)

数年前の8月に和三盆の写真を撮るために四国に出かけました。

中国自動車道の尾道からしまなみ海道を経て四国に渡り、海岸沿いに高知県の四万十市近くの黒潮町の役場で、サトウキビ畑を教えもらいました。

また栽培している人から話を聞くこともできました。ここで作っているのは普通のサトウキビでした。

その人の話では収穫時期は11月頃で、まだ茎の太さは半分位であること、この地域では20軒位の農家が栽培していて、約5000トンの収穫量があり、それを集めて潰して煮詰めて黒砂糖を取り出しているとのことでした。

黒砂糖にする前のものを糖蜜として、一部販売しているとも話してくれました。

このサトウキビは「黒海道(くろかいどう)」という品種で、極早生の糖度が高く品質が良く黒砂糖専用ということでした。

後で調べてみると、サトウキビには倒伏やサトウキビモザイク病、葉焼け病などがあり、品種改良が行われているようです。

翌日に東かがわ市に行き、和三盆のサトウキビ(竹糖)の写真を撮りました。

このサトウキビは和菓子に使われており、江戸時代から栽培されているのを知っていたので、現代のサトウキビとどのように違うかなども確かめたかったからです。

市役所で場所を聞き、その畑を探し当てて写真を撮りました。

和三盆の竹糖は丈も低く茎も細い感じで、ススキの株のような感じでした。

軽トラックの男性が車を止めて何をしているのかと尋ねてきたので、和三盆の写真を撮りに来たのだと話すと自分の畑だと言い、色々な話をしてくれました。

この辺りの和三盆はばいこう堂からの委託生産で、この委託栽培で手にできる金額は1キロ当たり100円で毎年50万円(5トン生産)しか手に入らない、地方全体では8000トン位の生産量ではないかと話してくれました。

栽培には大量の化成肥料と油粕などを追肥し、畝の周りの雑草を抜く作業もあり、採算は取れないとのことでした。

東かがわ市の観光ガイドには、和三盆はそれまで輸入に頼っていたサトウを8代将軍吉宗が奨励し、高松藩主の松平頼恭によって作られるようになり、現在では東かがわ市と徳島県板野郡の2か所だけで作られていると記されていました。

サトウキビはオフィシナルム種で、和三盆の竹糖はシネンセ種で異なる品種であり、サトウキビを竹糖の手法で和三盆を作ろうとしても、それはできないということです。

何気なく食べている和菓子に使われているサトウには、長い歴史があって文化そのものだと実感してしまいました。

これは野菜類も同じです。地産地消という言葉の意味には、その地方の文化を守ることも含まれています。

生産性や利潤だけを追求する現代社会の風潮は、地方の文化をなくすことが発展とか進歩と考えているようにしか思えないのです。

(イネ科 サトウキビ属)

カモ撮りこうちゃん