花の盗蜜をするスズメとマルハナバチには驚く
ソメイヨシノの盗蜜をするスズメ
ミヤマキケマンの盗蜜をするマルハナバチ
4月初旬になって団地を流れる用水路脇のソメイヨシノの花が咲き出すと、メジロ、ヒヨドリやスズメが花の蜜を求めて集まります。
メジロやヒヨドリは下向きに咲くソメイヨシノの花の蜜を逆さになりながら吸うのを見ると、なかなか絵になるなぁと思いながら写真を撮ります。
ところがスズメも花に集まりますが、その下の道路に花がたくさん落ちているのです。
最初はなぜ落ちているのか分からなかったのですが、観察しているとその花を千切って蜜を啄んでから捨てているようなのです。
その理由は2022.3.21づけのblog「スズメがサクラの蜜を得る方法で分かったこと」で書きました。
スズメの嘴の形がメジロやヒヨドリのように細長くないので、蜜を吸えないのではないかと述べました。
3月末に咲く小さいエドヒガンでは花に嘴を刺し込んで吸っている場面を見かけました。
ソメイヨシノでは嘴が蜜のあるところまで届かないからのようです。
「木を知る・木に学ぶ」(石井誠治 ヤマケイ新書)に「最近では、スズメのなかに桜の花を横からつつき、盗蜜することを覚えた個体がいます。新鮮な花の萼頭を横からくちばしでつつくために、花は花びらをつけたままで、くるくるまわりながら落下します。盗蜜を覚えた個体のいるスズメの集団は、仲間もやりかたを覚えてまねをするため、各地で落花狼藉が目に付くようになってきました。」と記されています。
この本の発行年が2015年8月になっているので、私が観察した時期よりはもっと前です。
同じ現象を私より早く知っている人がいること、またその特異な現象に気づいたことを考えると、ほっとがっかりという感じがしてしまいました。
このスズメの盗蜜行動は今ではどこでも一般的に見られる行動のように思われます。
マルハナバチとミヤマキケマンでも同じような場面を見かけました。
東北では春になるとミヤマキケマンが黄色い花を咲かせます。
エンゴサクと同じケシ科キケマン属に属しています。
たくさんの小さい花が集まって見事な感じの花になります。
小さい花は尻尾(距 きょ)になっていて底に蜜があります。
普通はハナの上からチョウなどは口吻を刺し込んでその蜜に至るときに花粉が雌シベについて受粉を助ける仕組みになっています。
春に東根の関山峠の山道を歩いていたときに、ミヤマキケマンが咲いているところで、マルハナバチが花の距(きょ)近くの部分を食いちぎって蜜を吸っているのを見かけました。
花は蜜を与える代わりに受粉してもらうという目的を果たせなくなっています。
盗蜜行動は種の生存をかけた静かな攻防なんだろうなぁと思ってしまいました。
(スズメ目 スズメ科)(ミツバチ科 マルハナバチ属)
カモ撮りこうちゃん