ヒガンバナとチョウの吸蜜の関係を考えた
彼岸花の花の蜜を吸うアゲハチョウ
ジャコウアゲハ
モンキアゲハ
口吻が短いアオスジアゲハ
9月半ば近くになるとヒガンバナが花を咲かせます。
小さい頃は墓地で見かけ、花の赤い色が血を連想させ死を予感させるので近づき難い花でした。
最近は社会全体がその赤い華やかな花を愛でるようになってきました。
東海地方でも半田市の矢勝川や津屋川の堤防の群生するヒガンバナを観賞しに来る人たちを見かけるようになりました。
価値の転換が起こったようです。
いつも出かける定点観測地のハリヨ公園脇の津屋川にも、この時期になるとたくさんのカメラを持った人たちが訪れます。
今年のヒガンバナは例年より少なく、来た人たちががっかりしている様子が見られました。
ヒガンバナは中国原産で、日本にやってきた帰化植物です。
畔などに植わっているのは鱗茎が猛毒でモグラ被害を防ぐために植えたといわれています。
また救荒植物としてデンプンをとりだして食べたようです。
桑名にいる妹から白いヒガンバナを貰って、庭で育てています。
ヒガンバナは花が終わると枯れて、その後緑の葉っぱが出て冬を越します。
夏に入る前に枯れてしまいます。
普通見られる植物とは正反対の生態をしています。
また三倍体植物のために種ができません。
私はそのためにヒガンバナは蜜も出していないと思い込んでいました。
でも天童にいた時にヒガンバナの蜜を吸っているジャコウアゲハを見かけました。
岡崎の乙川のヒガンバナでもモンキアゲハが蜜を吸っていました。
数日前にハリヨ公園の脇でもアゲハチョウが蜜を吸っていました。
ヒガンバナにも蜜は出ているようなのです。
津屋川の堤防ではたくさんのヒガンバナが咲いていますが、モンシロチョウやキタキチョウが吸蜜している場面を見たことはありません。
またアオスジアゲハも吸蜜している場面は見ていません。
アゲハチョウ、モンキアゲハ、ジャコウアゲハだけが吸蜜しているのです。
どうもヒガンバナの蜜源までは距離が遠いので、口吻が長いチョウしか吸蜜できないのではないかと思われます。
体長はアゲハチョウと変わらないアオスジアゲハは口吻が短いといわれています。
そのため蜜源が届きやすいヤブガラシ、シロツメクサ、ナンキンハゼ、ノブドウなどの花の吸蜜をしています。
多分アオスジアゲハの口吻はヒガンバナの蜜源にまで届かないのだろうと思われます。
チョウの体の特長と花の仕組みなどが密接に関連して、吸蜜できるように進化してきたことを共進化と呼んでいます。
でも吸蜜させておきながら受粉して種ができないヒガンバナとアゲハチョウなどは共生し合っているといって良いのか大いに疑問になるところです。
不思議ですー。
(ヒガンバナ科 ヒガンバナ属)
“ヒガンバナとチョウの吸蜜の関係を考えた” に対して1件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。