クリの雄花と雌花で考えたこと
昔からクリの花は見かけていました。
それは雄花(おばな)でした。
その白い房のような雄花とその匂いが初夏になったことを感じさせました。
後年になるまで、その房のような雄花がどうやってクリの実になるか分からなかったのです。
秋になると知らない間に実ができている感じでした。私だけでなく多くの人が同じではないでしょうか。
天童にいた頃にクリの雄花の枝の元あたりに、小さいクリの赤ちゃんの雌花(めばな)がついているのを見つけました。
雌花の先端にメシベがあり、それに雄花の花粉がつく仕組みのようです。
カキやクリの受粉の仕組みを知らないまま年を経てきたことに愕然としたことを覚えています。
尊敬していた先生が「植物は他家受粉をするのが一般的です。」と話していました。
自分の周りの園芸植物のほとんどは、オシベとメシベが一緒になっている両性花です。
その仕組みは当然そのオシベとメシベが受粉して種ができると考えられるので、植物の多くは自家受粉すると思い込んでいました。
種ができて翌年蒔けば同じ花を咲かせることができるからです。
春に山を歩くとブナ、ヤナギ、カバノキやクルミの仲間は同じ房状の雄花を咲かせています。
その木に雌花が別にある雌雄異花がほとんどです。
春の山の木では両性花は余り多くは見かけません。
それまで両性花が花だと思っていたので、この雄花と雌花が同じ木になる木々たちを見て納得できませんでした。
ウリ科のキュウリ、カボチャ、スイカなども同じであることを後で知りました。
木の中には、同じ木に雄花と雌花が咲くのとは違って、雄花だけの木、雌花だけの木があります。
先日書いたキュウイフルーツやヤマモモも同様です。
こうした雌雄異花や雌雄異株は他家受粉するのを目的にしていると考えられますね。
ところが自家受粉する両性花でも、雌性先熟とか雄性先熟やバラ科のように自家不和合性で自家受粉を避ける仕組みを持っているものがあります。
多くの花は他家受粉がうまくいかないときは自家受粉する2段構えの戦略を採っているものも多数あります。
花は自家受粉すると考えたもう1つには、イネや麦などは風媒花で自家受粉すると考えていたことがあります。
ニホンタンポポは他家受粉で増えますが、他の株のオシベの花粉がつくと種ができるのです。
同じように考えると、イネも他家受粉しているのかも知れないと考え始めました。
大量のイネを密植すると、同種のイネの別の株の花粉がつくと思われるので他家受粉と考えて良いようにも思えます。
雌雄異花、雌雄異株と両性花で、環境が変化しても子孫が生き延びる戦略として、どれが効果的か、自然が壮大な実験しているような気がしてきました。
自然恐るべし!ですね。
(ブナ科 クリ属)
カモ撮りこうちゃん