カキにも花が咲くのを知って驚いた!

植物を観察していると、異なる遺伝子を取り込む戦略(他家受粉)の他に、今までの遺伝子(自家受粉)も使用する2段構えの子孫を繋ぐ戦略を採っているものが多くあります。

スミレ、ミゾソバのように他家受粉の他に閉鎖花があるもの、ヤマノイモやカラスビシャクのように種の他にムカゴがあるもの、ジャガイモやサツマイモのように種以外ではイモを作るものがあります。

花を咲かせるツユクサでは、一日花なので朝早くは雌しべを長く伸ばして他家受粉をしようとしますが、それが叶わないと雌しべが曲がってきて自家受粉をします。

セイヨウタンポポでは他家受粉できないときには、栄養生殖で種ができると言われています。

花を咲かせても2段構えの戦略を採っているのですね。

また植物には自家受粉しないように「雄性先熟」や「雌性先熟」などがあります。

これは自家受粉を避ける仕組みです。

「種(実)のできる前には花が咲く」という規則性が考えられます。

逆の「花が咲けば種(実)ができる」と言って良いのかという問題もあります。

ソメイヨシノなどはあれほどたくさんの花を咲かせながら種(実)をほとんど見たことがありません。

園芸植物でも多くのものが種(実)をつけないものがあります。

逆は必ずしも真ならずということでしょうか。

昔、学生に「バラ、マツ、イネ、ススキ、ツクシ、ワラビ、チュ―リップ」のうち花を咲かせるのはどれかと尋ねたことがあります。

すると「バラとチューリップだけが花が咲く」というのです。

「マツ、イネ、ススキは花ではない」との回答でした。

科学的観点からは、花は生殖器官で種を作る器官なので、ハナビラは必ずしも必要な条件ではないのですが、社会ではハナビラがあるものが花だと考えているようです。

花屋に行けば一目瞭然ですね。

私もカキの実が生るのは知っていましたが、花が咲くとはずーっと思っていなかったのです。

規則性で考えれば「カキの黒い種→花が咲くはず」なのですが、最近まで全くその規則性を当てはめてこなかったのです。

私ばかりでなく多くの人も同じではないかと思い、その動画を撮りました。

ヘタが大きく、そこに包まれたクリーム色のハナビラはなかなか花と気づかないような存在です。

大きなハナビラだったら人の気を惹くに違いがありませんが。

カキの実の存在は遠くからでも分かります。

秋の風情を感じさせる重要な要素といって過言ではありません。

カキの花の存在の薄さを、実が肩代わりしているのかなぁと思ったものです。

(カキノキ科 カキノキ属)

カモ撮りこうちゃん