臆病なのに面白い習性を持つチュウシャクシギ
ここ数年春になると飛島村でチュウシャクシギを見かけます。
以前は藤前干潟でも見かけました。
春先の水田の準備で田んぼに水を張る頃にやってきます。
他のタカブシギ、ムナグロ、オグロシギやセイタカシギなどは長くても1週間以内には見かけなくなります。
繁殖地のユーラシア大陸、樺太やカムチャッカ半島の方に向かって移動していくのでしょう。
ところがチュウシャクシギときたら、4月下旬に見かけるようになってから5月中旬を過ぎても見かけます。
1か月近くもいるようです。
留鳥でないかと錯覚してしまいそうです。
飛島村では3羽を確認しています。
昨年も3羽でした。
移動中に寄る場所が決まっているのではないかと思われます。
水田の水が張ってあるだけで一面が黒いときは、畔や田んぼの縁の叢にいて餌を探しています。
田んぼの真ん中に出てくることはありません。
最近は畔や田んぼの周りに除草剤を撒くようになったので、餌の汚染や体に害があるのではないかと心配してしまいます。
田植えが終わってイネが植えられると、田んぼの端っこに降りてきて、餌を探しはじめます。
真ん中には出てきません。
かなり用心深いシギです。
田んぼで餌探しをしているチュウシャクシギを見かけて、農道に車を停めて車内から写真を撮ろうとすると、遠く離れていてもすぐ飛び立って移動していきます。
なかなか写真や動画を撮るのが難しいシギです。
3羽いるのですが、飛島村の田んぼでそれぞれが別々に餌を探しています。
3羽が一緒に行動するのは少ないようです。
こんな臆病で用心深いチュウシャクシギが、土手の叢からコンクリートの農道に出てきて歩いている姿を見かけます。
他のシギではこうした行動は見かけていません。
最初はケリかと思うのですが、足と嘴が長いのでチュウシャクシギと分かります。
なぜ道路上に出てきて歩くのでしょう。
横断して隣の田んぼに行くのに、飛ぶよりは効率的だからでしょうか。
見かけるのは1羽のときが多いのですが、2羽の時もあります。
この行動習性がとても不思議です。
道路上を歩くのはかなり危険だと思われます。
車に轢かれたり天敵に襲われることがあるからです。
臆病で用心深いように見えて、大胆なシギなのかなあと思ってしまいました。
用心深くするなら道路上に出てくるのは危険なのに、その危険さを感じていないようなのです。
用心深くする行動の転移する範囲がずれているように思えます。
考えてみると私たちも用心深くするところと抜けているところがあって、矛盾だらけの行動をしています。
チュウシャクシギのこうした習性も同じかもしれませんね。
(チドリ目 シギ科)
カモ撮りこうちゃん