帰化植物だったイヌコモチナデシコ
蟹江周辺の道路の端や中央分離帯の土手に、4月中旬になると小さなひょろっとしたナデシコが咲き出します。
それも1本2本ではなく群生して咲いています。
その先端にピンクの小さい花を咲かせます。
可憐な花という雰囲気を醸し出しています。
この花は山形でも見かけていました。
最初アザミだと思っていたのです。
アザミのキツネアザミも同じような雰囲気で茎の先端部にピンクの小さい花を咲かせます。
きちんと葉の違いを見れば一目瞭然なのですが、そこまで気が回らないでいました。
「岡山理科大学」のイヌコモチナデシコには「ヨーロッパ原産の帰化植物。秋に芽生え、5月から6月にかけて花を咲かせる越年性の一年草。道路沿いや造成地などの荒れ地に生育する。根性葉は小さくて目立たず、茎と膨れた花序ばかりが目立つ植物である。茎には腺毛が密生しており、花茎の葉は下部のものは葉らしいが上部のものは小さく鞘状になっている。花序は茎の先端に形成され、卵状にふくらむ。次々と紫色の小さな花を咲かせるが、開いた状態のものは少なく、開花状態のものを見ることは少ない。おそらく午前中に開花し、比較的短時間に閉じるのではないかと思う。花は全開することは少なく、5枚の花弁は重なって3枚に見えることも多い。」と記されています。
「国立環境研究所」の「侵入生物データベース」には「生育環境は道路脇など明るい攪乱地、草地。温度選好性は温帯。繁殖生態は大量の種子を生産する。繁殖期は花期は春。国内移入分布は山形、秋田、宮城県の東北と、千葉から太平洋岸の東海地方と中国地方の各県及び福岡県になっている。また国内での初記録は1960年、福岡県北九州」と記されています。
初記録から60年ほど経っているのですね。
まだ全国には広がっていないようですが、それも時間の問題だと思われます。
歩き回るようになって、小さいときに見かけなかった植物がたくさん生えているのを知りました。
思いつくだけでもセイタカアワダチソウ、オランダミミナグサ、ヒレタゴボウ、キキョウソウ、マツバウンランなどがあります。
日本の景色を構成する植物がどんどん変わってきているようです。
全体を見れば日本の景色は昔のままに見えても、構成する植物がどんどん入れ替わってきているのです。
新コロナが世界中で広がったのも世界中の人たちの交流が盛んになってきたからです。
植物も同じように世界中に拡散しているようです。
ユニバーサルになることが正しいという思想は本当だろうかと考えてしまいます。
ある国のある地方の植物がどんな気候や地理的条件で育つかの世界的な実験をしているようなものですね。
日本の文化や動植物の生態の在り方を、世界との関係でもう一度考えてみたいものです。
(ナデシコ科 コモチナデシコ属)
カモ撮りこうちゃん