冬なのに縄張りにこだわるカイツブリ

1月末に弥富市三ツ又池公園に鳥の写真を撮りに行きました。

宝川に通じる池にはハシビロガモの群れが越冬していました。

他ではこれほどの数は見かけません。

嘴が大きい割りに中型ガモでバランスが悪い感じです。

オスの生殖羽の緑と白と茶色の色合いはとても派手です。

そんなハシビロガモの他に留鳥のカイツブリを見かけました。

夏に比べると数が少ないので他に移動していると思われます。

数キロ離れた日光川ウォーターパークには冬期間だけカイツブリの小群が見られます。

そこでは繁殖していないので、春から夏にかけては他の場所で繁殖しているはずです。

逆に三ツ又池公園では、春から夏にかけて発泡スチロールの箱の上で産卵・育雛しています。

発泡スチロールの箱は何個かあって、入れ替わりで何組かが子育てしてします。

見かけなくなったカイツブリがウォーターパークに飛来しているかどうかは不明です。

ハシビロガモの群れが移動したり水辺で休んでいるのを見ていたら、カイツブリの2羽が池の杭にまとわりついて離れない場面を見かけました。

2羽は番いだと思われる雰囲気です。

なぜ杭にまとわりついているのか不思議に思ったのです。

数日後また出かけたら、今度は水面に浮かぶ半分壊れかけの発泡スチロールの箱の傍に1羽のカイツブリがいました。

このカイツブリも箱から離れようとしませんでした。

「日本の野鳥」(叶内拓哉 安部直哉他 山と渓谷社)には「行動として、繁殖期は淡水域でつがいで生活し、縄張りをつくる。非繁殖期に縄張りを持ち続けるものもいる。水草、杭、水面に垂れ下がった木の枝の上やアシの茎などに、水に浮いているように見える巣を作る。冬は縄張りから追い出された若鳥や、移動してきた成鳥も集まって群れる。」と記されています。

杭や発泡スチロールの箱に拘っているカイツブリは夏羽のような感じで、ウォーターパークのカイツブリは冬羽の感じなのです。

それがとても印象的でした。

繁殖場所にいるカイツブリはあと数か月で繁殖期に入ります。

営巣する杭や発泡スチロールの箱は必要不可欠なものです。

杭は本来ならヨシ葉や水草を絡ませて巣を作る条件になるものです。

発泡スチロールの箱は直接巣そのものになります。

周期的に産卵・育雛する時期がすぐ来ることが分かっていて、非繁殖期でも縄張りを守ろうとしているのかも知れません。

営巣場所の奪い合いの予測ができ、今から守ろうとしている可能性があります。

そう考えるとカイツブリにも予測能力があるのかも知れませんね。

夏羽に見える繁殖羽がこの時期に見られる理由もこんなことによるのかなーと思いました。

本当かなー。

(カイツブリ目 カイツブリ科)

カモ撮りこうちゃん