最初オニヤンマだと思ったムカシヤンマ
高瀬から山形に抜ける紅花トンネル脇に谷川に沿った林道があります。
この林道は私がたびたび通った定点観測地の1つです。
6月にそこを歩きました。
歩いていくと石ころだらけの地面に、オニヤンマのようなトンボがとまっていました。
オニヤンマと同じ黒と黄色の入った模様です。
オニヤンマは地面にとまることはないので、変わったオニヤンマだなあと思いながらもカメラで写真を撮りました。
そのトンボは飛び立って、また先の道路にとまったのです。
飛べなくなって地面に降りている訳ではなさそうでした。
家に帰ってオニヤンマでなければサナエトンボ科の仲間だろうと予想して調べました。
コオニヤンマのように頭が小さい訳でもなく、左右の3番目の脚が長い訳でもないのです。
雰囲気からサナエトンボ科の仲間だと思い込んで、パソコンのサナエトンボの分類に入れておきました。
知らないトンボ、チョウや植物などに出会うと写真に撮っておきます。
「トンボ不明」とか「植物?」と分類してパソコンに入れておきます。
年数が経つうちに、それが判明することが多いのです。
ムカシヤンマも同様でした。
ある時ムカシヤンマの翅胸前面が茶色だと記されているのを見て写真を調べ直すと、翅胸前面が茶色だったのです。
「ムカシヤンマなんだ!」と分かって、とても嬉しくなりました。
そんなことが度々あります。
分からなかったことが突然分かる面白さも、写真撮りをする醍醐味だと思うようになりました。
「日本のトンボ」(尾園暁 川島逸郎 二橋亮 文一総合出版)にはムカシヤンマは「ムカシヤンマ科」となっています。「生育環境は丘陵地~山地の周囲に樹林のある湿地や、水が侵み出た斜面など。卵期間1か月程度、幼虫期間2~3年程度と推測される(2~3年1世代)幼虫で越冬する。体形のがっしりした、サナエトンボ科に似た大型のトンボ。オスメスともに黄色の斑紋があり、表胸前面は淡褐色。~中略~メスは産卵管が発達する。複眼はオスメスともに黒褐色。~中略~ 不均翅亜目の中ではもっとも原始的なグループと考えられていたが、DNA解析ではヤンマ科よりも後に分岐した可能性が示されている。」とあります。「成熟オスは地面や植物に止まって縄張りをもち、メスが近づくと樹上に連れ去り」「産卵はメスはおもに朝と夕方、水の染み出る斜面や湿地を訪れ、土やコケの間に産卵する」と記されています。
オスを地面で見かけたのは縄張り行動だったのですね。
それにしてもこんな変わった産卵をするヤンマがいることに驚きました。
でももう出会うことはないでしょうけど。
(ムカシヤンマ科 ムカシヤンマ属)
カモ撮りこうちゃん