昔はよく出会ったルリタテハだけど

小さい頃からルリタテハは知っていました。

庄内川の叢で見かけていたのです。

他のモンシロチョウなどと違って、翅の縁がギザギザになっているタテハチョウの仲間で、その表翅の青白と瑠璃色が美しいのです。

ギザギザの翅のチョウを見るとタテハチョウだと思い込むようになりました。

実際にはジャノメチョウの仲間は縁がギザギザになっていないのにタテハチョウですが。

ルリタテハの表翅の模様は薄い青紺色の地に青白い線が翅に沿っていて、デザイン的にシンプルなのに色合いは絶妙です。

裏翅の模様はこげ茶色で目立ちません。

表と裏の翅の色合いのギャップからいっても印象深いチョウです。

天童では山元沼の農家の納屋近くの木材の上で、ルリタテハを見かけたのは晩秋の11月頃でした。

翌年4月に紅花トンネル脇の林道を歩いていたら、道路上にルリタテハがとまっていて、翅を広げて日向ぼっこをしていました。

山元沼のルリタテハも日当たりの良い場所で翅を広げていました。

変温動物なので太陽の陽射しが当たらないと活動できないようです。

4月にルリタテハを見かけたことに吃驚してしまいました。

ルリタテハは秋口に見られるチョウだと思い込んでいたからです。

「日本のチョウ」(日本チョウ類保全協会編 誠文堂新光社)には「中型のチョウで、表は外中央部に青色の帯があり、全体もわずかに瑠璃色を帯びる。裏には褐色を基調とした模様があり、夏型は明るく、秋型では黒みが強い。近似種はおらず、他種との識別は容易。成虫は年二回~三回(寒冷地一~二回 暖地三回~周年)食草は、サルトリイバラ、ホトトギス、オニユリ、ヤマユリ、サツマサンキライ(ユリ科)生育環境は、平地~山地の森林や林縁。雑木林などの明るい場所に見られるほか、ホトトギスの植栽によって都市部の公園や人家などの小規模な樹林の周辺にも見られる。行動は、日中、敏速に飛翔し、クヌギやコナラなどの樹液や腐果などに好んで集まる。越冬後はアセビ、キブシなどの花を訪れる。オスは森林内の空間などで占有行動をとる。生育状況・保全は、開発による森林の消失によって減少しているものの、都市部でも比較的よく残っており、かなり普通に見られる。」と記されています。

年に数回成虫になるので、春先と秋口に見られるのは別に不思議なことではなさそうです。

蟹江に帰ってルリタテハは今のところ1回しか見ていません。

川の土手で時々サルトリイバラを見かけるので、そこに卵を産んでいるのかなあと思っています。

昔よく見かけたルリタテハも自然環境の変化で減少していると予想されます。

知らない間に自然環境が変化して、その影響で野生動物の増減も起こっているのでしょうね。

(タテハチョウ科 ルリタテハ属)

カモ撮りこうちゃん