クマザサを通して考えたこと

山形県から奥羽山脈を越えて宮城県に入る途中にはクマザサがたくさん生えています。

春に若葉が出てくると、何枚か採って知人宅に持参したものです。

クマザサといえば、すぐ想い出すのは富山の鱒寿司(マスズシ)に敷いてあるクマザサです。

クマザサには殺菌作用があるといわれています。

この東海地方には柿の葉寿司、朴葉寿司など植物の葉で巻いた寿司も手に入りますが、共に殺菌作用があると言われています。

竹の皮や経木でおむすびを包むこともこの作用を期待してのことだと思われます。

因みに経木の材料はスギやヒノキです。

刺身を冷蔵庫に保存する場合には経木で巻いて保存すると殺菌作用と保温剤として有効で、廃棄する際も環境に優しいと聞いたことがあります。

築地市場でマグロの塊を経木に乗せて販売していた様子を想い出しました。

植物の葉の殺菌作用を昔の人たちはよく知っていたのですね。

「野麦峠」(山本茂美 朝日文庫)のタイトルの野麦とはクマザサのことです。

高山周辺から娘たちがクマザサの茂る野麦峠を越えて、諏訪湖近くの岡谷製糸工場まで女工として勤めに行ったのです。

野麦峠が岐阜と長野の県境で故郷との別れとなる場所です。

そんな象徴として、このタイトルがつけられたようです。

数年前山形の高瀬付近の山道の脇に、クマザサが生えていました。

そのクマザサには花が咲いていました。周辺のクマザサ全部が咲いているわけではありません。

クマザサは竹と同じ仲間なので、付近のクマザサも一斉に枯れるのでしょうか。

その後何度か歩いていますが、付近が全て枯れている記憶はないのです。

タケについては、「NHK生活情報ブログ」の概略を示すと、「モウソウチクは67年、マダケでは120年と言われているものの、きちんとした記録がなく詳しいことは分かっていない。インド北東部に多く分布する『メロカンナ』と呼ばれる竹では1815年、1863年、1911年、1958~1959年と、ほぼ48年の周期で開花している記録が残されており、48年後になる2007年に出かけたら咲いていた。根が繋がっているので同じ時期に枯れることがある得るものの、そうでない竹でも枯れる。それを説明する『時計遺伝子』の存在が考えられている。」と記されています。

いわきの友人からも、竹が一斉に枯れるのを題材にした作家の随想が送られてきました。

こんな長時間の時計遺伝子の存在があるとしたら、人間にはすぐには理解できない自然の不思議といえるでしょう。

因みの秋口に薄いブルーの花を咲かせる浮草のホテイアオイも、ある時期になるとどの株も花茎を出して咲き始めます。

ランナーを出して増えるので、同じ株のものもあると思われますが、それにしてもかなり正確に咲く時期が分かっているようです。

植物の先端部が日照によって化学変化するのだと思われますが、とても不思議な現象です。

(クマザサ イネ科 ササ属)(ホテイアオイ ミズアオイ科 ホテイアオイ属)

カモ撮りこうちゃん