ボラの群れが水中ネットを飛び越えていった

日光川の日光大橋の上流に、吉川英治の句碑があります。

友人を訪ねた時に詠んだという「佐屋川の土手も みちかし 月こよい」の句です。

蟹江は昔から水郷地帯で情緒豊かな土地柄で、吉川英治は「東海のいたこ」と称したそうです。

佐屋川は日光川の河川整備によって分断され数キロに亘る長い池や沼のような川になりました。

しかもこの川は私有地で、蟹江出身の建築家黒川紀章の親族の持ち物ということです。

黒川紀章が対談で佐屋川は黒川家の所有地だと話していたのを聞いたことがあります。

佐屋川ではコイの養殖や、川に打ち込むゴルフ場などを経営しています。

養殖のために川にネットを張って、魚の出入りをコントロールしています。

佐屋川で釣りをする人には「釣り代金1000円」という立札が立っています。

水中にいくつかのネットが張られていますが、日光川と水門で繋がっています。

水量調節のために水門を上げたり下げたりしているので、日光川に佐屋川から水が流れてくる時は、カワウが水門近くで待ち受けて潜っているのをよく見かけます。

その水門を通って、逆に日光川から魚が入り込んできます。

日光川はたくさんの魚が住んでいて、40㎝を超えるコイや大きなボラもたくさん見かけます。

とても豊かな川です。

それが多くのカワウ、ミサゴ、トンビやアオサギなどを育んでいる原因だと思われます。

数日前の午後に日光川と佐屋川の間の堤防を歩いていると、佐屋川の張られた水中ネットを飛び越えて、川の上流に行こうとするボラを見かけました。

テレビで見かける段差がある清流を登っていくアユやサケやサクラマスという感じではありません。

濁った川の中でネットを越えて行くだけなのですが、見ていてその迫力と凄さに感心してしまいました。

日光川では午後になると水面上をかなり高くボラが飛び跳ねます。

跳ねる理由は敵から逃げるためだろうと思っていました。

実際にカワウが潜っている近くのボラが飛び跳ねて逃げていくのを観察しました。

別の理由で飛び跳ねているようなケースもあります。

何か所かで飛び跳ねているからです。

その理由は今のところ分かっていません。

何匹ものボラが水中のネットを飛び越えていきます。

大きな体を水面上30~40cmの上空に飛び出す能力に感心してしまいます。

水面上に体を飛び出すには、尻尾とその付近の筋力を使って激しく水を打たせるはずですが、大きな初速スピードと飛び出し角度が要求されます。

その瞬発的なエネルギーを駆使できる能力をボラが持っているということでしょうね。

この能力には感心せざるを得ませんでした。

(ボラ目 ボラ科)

カモ撮りこうちゃん