藤前干潟でも北帰行しないキンクロハジロを見かけた

久し振りに藤前干潟に出かけました。

シギがそろそろ北から戻ってくる時期だと思ったからです。

また防潮堤の反対側はクズが群生していて、昨年ウラナミシジミがたくさん飛んでいたのです。

それも期待していました。

シギは1羽だけ見かけましたが留鳥のイソシギではないかと思います。

代わりに留鳥のカルガモの群れが泳いでいました。

カルガモは草食性で水草を食べる可能性はありますが、なぜ藤前干潟で群れて泳いでいるのか不明です。

でも1年中この辺りでは見かけます。

そんな中で1羽のカルガモより小さいカモを見かけました。

遠いので最初はマガモかなと思ったのです。

それにしても小さいのです。

眼が悪いので嘴が黄色く見えたのです。

写真と動画を撮って拡大して調べてみるとキンクロハジロでした。

キンクロハジロはこの時期、北帰行しているはずです。

「日本のカモ 識別図鑑」(氏原巨雄 道昭 誠文堂新光社)には「ユーラシアに広く分布。日本では冬鳥として全国に普通に渡来し、湖沼、池、河川の淡水~汽水域を中心に生息。河川では主に流れの緩やかな下流域や河口部、及び堰堤上で見られる。翼を開かずに潜水して、軟体動物、甲殻類、昆虫類、水草などを幅広く採餌する。」と記されています。

冬になると、藤前干潟ではキンクロハジロが泳いでいるのを見かけますが、スズガモほどの数ではありません。

このキンクロハジロははぐれたのか、羽を傷めたのか分かりません。

ただ1羽だけで泳いでいる傍を留鳥のカルガモの群れが傍を通りすぎていきました。

感情移入すると少し寂しそうに見えました。

何千キロにも及ぶ距離を渡るカモは羽を傷めて飛べなくなったら致命的です。

鳥生(人生?)が変わってしまいます。

夏の間その個体だけで過ごさなければなりません。

善太川のミコアイサの数羽は、羽を傷めて飛べませんでした。

オスで冬の生殖羽が普通の羽に替わっていきました。

危険を察すると飛べないので潜水します。

潜水すると水面のどこに顔を出すか分かりませんでした。

その位長い距離潜っていました。

秋になって群れが来るのを待っている風情に見えました。

それに比べると日光川や飛島村で見かけたマガモの数羽は番いの可能性もあり、飛べるのに留まっているように思われます。

カモやシギたちを見ると、そんな労力を使ってなぜ渡りをするんだろうと不思議であり、少し可哀そうな気にもなってしまいます。

でもきっとそんなことは考えたこともないんでしょうけどね。

(カモ科 ハジロ属)

カモ撮りこうちゃん