東北でリンゴについての考えが変わった

名古屋で育って東北で青年時代から人生の大半を過ごして、それまで当たり前だと思っていたことが、それぞれの土地の文化によって異なることを学びました。

例えば、山形の葬儀では宗派によるかも知れませんが、亡くなった方の骨箱と阿弥陀仏をお寺の本堂で向かい合わせ、その間にお坊さんや参列者が入って経を唱え、そして霊が仏になったところで、阿弥陀仏の脇に骨箱を並べて、また経を唱えます。

名古屋でも東京でもそれまで見たことがありませんでした。

どちらが正しいとか間違いということではなく、文化の違いを感じたものです。

リンゴについても同様で、何日ももち食べるとスカスカしたものがリンゴだと思い込んでいました。

ところが天童で生活するようになって認識が変わってきました。

穫れたての新鮮なリンゴは瑞々しくて美味しいことが分かってきたのです。

山形県は青森、長野、岩手に次いで全国4番目のリンゴの生産量があります。

秋になると無人販売でとても安く購入できます。

ある時は安いリンゴの何種類かを、相模原の叔母に送ったこともありました。

始めに出てくるのは「津軽」で、さっぱりした浅い甘みのリンゴです。

その次に「昴林(コウリン)」「千秋」「秋映」などが出てきます。

私はそのうちでも「昴林」が好きです。

その後「紅玉」が出てきます。

昔からの小玉のリンゴで皮が赤く酸味が強く、アップルパイの材料になります。

また他に「出羽ふじ」「夕映え」「北斗」などがありますが、それぞれ味が少しずつ違います。

10月末から11月にかけて、「サンふじ」が出てきます。

これは他のリンゴに比べると断然群を抜いて美味しいと思います。

甘さと酸味のバランスが良い深い味のリンゴです。

私は栽培農家から直接購入していますが、蜜の入った「サンふじ」は絶品です。

その年の気候に左右されて年毎に微妙に味が違います。

それがまた良いのですね。

「サンふじ」は青森県で「国光」に「デリシャス」の花粉をつけて作られたと言われています。

リンゴやラフランスも私たちが食べているのは花托の部分です。

胚珠が受粉して実が大きくなっていくのですが、他種のリンゴの花粉でしか受粉できない「自家不和合性」の性質を持っています。

そのリンゴが美味しからとその種を撒いても同じものにならないのです。

だからリンゴは接いぎ木や挿し木で増やすしかないのですね。

スーパーで買うリンゴでは、美味しいリンゴに出会っていません。

そうしたものがリンゴの味だと思ったら大違いです。

是非本場の新鮮なリンゴを食べて欲しいと思います。

(バラ科 リンゴ属)

カモ撮りこうちゃん