福原輪中のチョウトンボは絶滅してしまった!

小さい頃、チョウトンボはなかなか捕れないトンボでした。

畑の長い竿の天辺にとまっていて、子どものタモ網では届かなかったのです。

長い竹竿を紐で結んで捕ろうとしましたが、すぐ飛び立ちひらひらと空中を漂っていきます。

憧れのトンボだったのです。

蟹江に戻ってから、チョウトンボが移動していく姿は見かけていました。

1昨年永和の田んぼの水溜まりでチョウトンボを何匹か見かけました。

連日出かけて交尾して産卵している様子を写真に撮りました。

昨年は永和では一度も見かけませんでした。

昨年、偶然に愛西市の福原輪中の長良川沿いの人工湿地帯で、チョウトンボとショウジョウトンボがたくさん飛んでいるのを見かけました。

これほど多くのチョウトンボを見たのは人生で初めてでした。

ショウジョウトンボもチョウトンボも愛知県内では希少種で、チョウトンボは特に少なくなっているようです。

この湿地帯が愛知県内では唯一のチョウトンボの繁殖地ではないかと思われました。

そんな湿地帯で夏頃水抜きを始めました。

工事関係者と会った時に「どうするのか」と尋ねると、「長良川の土砂を運んで埋め立てるのだ。」と応えました。

私が「ここは珍しいトンボが生息しているのです。」と話しましたが意に介さない感じでした。

結局その湿地帯は埋め立てられてしまいました。

埋め立ての話を聞いたので湿地帯のチョウトンボは絶滅するに違いないと考えて、撮れるだけ写真を撮っておこうと考えました。

HPに載っているチョウトンボの写真はそこにいたチョウトンボです。

今年7月になって埋め立てられた湿地帯に行ってみましたが、チョウトンボもショウジョウトンボも1匹も見かけませんでした。

あれだけのチョウトンボがいたことが夢のようです。

今年7月半ばに永和の雑木林の端で、チョウトンボのオスが飛翔していました。

オスは移動性が強いので、遠方まで移動します。

どこから来たのか分かりませんが、メスに出会う確率はほとんどないのにと思ってしまいました。

福原輪中のチョウトンボについて、少しでも湿地帯の一部を残してくれれば、貴重なトンボが子孫を繋いでいけるのに、どうしてそうした配慮ができないのでしょうか。

いつも思うのは「地球は人間のためだけのものでない。」ということです。

自然環境を人間本位に開発していけば、いつか自然のしっぺ返しを受けるに違いないと思われます。

そんなことを考えてしまいました。

(トンボ科 チョウトンボ属)

カモ撮りこうちゃん