コフキトンボにも個体距離があるらしい

これまでカワウに個体距離があると紹介しました。

その理由はなぜか分かりませんが、カワウとカワウ間の距離を一定に保とうとする習性です。

人間ではそれをパーソナルスペースといって、個人の一種の縄張り空間と考え、その中に他人が入って来ると、不快感や圧迫感を感じるというものです。

これらの空間距離は人間全体に認められますが、その距離は文化によっても異なります。

中東の人たちはその距離が短いのに比べて、日本人では長い傾向があります。

中東の人と日本人が話をする場面では、中東の人は接近して話をしようとするのに、日本人は距離をとろうと後ずさりすることになります。

なかなか面白い問題です。

人間の場面には、不快感や圧迫感といった心理的な説明が可能ですが、カワウにも同じ心理的なことが考えられるのかは疑問です。

カワウの場合いつでも均一な個体距離をとるわけではなく、とまる場所が限定されているときは密集してとまります。

人間も満員電車では不快だと思って我慢するのと同じことですね。

飛島村三福の放置されている金魚の養殖場跡には、コフキトンボがたくさん羽化して飛び回っています

そんなコフキトンボの写真を撮っていて、面白い光景に出会いました。

養魚場の水面に出ている枯れ枝にたくさんのコフキトンボがとまっていました。

2本の枯れ枝です。

それぞれの枝に数匹のコフキトンボがとまっているのです。

それもほぼ等間隔でとまっているのです。

一度その枝から飛び立って戻って来てとまった時には、それまでの等間隔の距離でとまりました。

コフキトンボにも個体距離があるようなのです。

ネズミのように密集する動物がいるかと思えば、ある距離を保とうとする傾向があるコフキトンボのようなものもあります。

コフキトンボにもアナロジーとして心理的な圧迫感があるのでしょうか。

知りたいものです。

コフキトンボも接近して止まる場合があるかを調べてみたら、メスとオスが接近しているものがありました。

オスがメスを獲得しようと迫っている場面でした。

コフキトンボが個体距離を保ちながらとまる光景を見て、微笑ましくもあり面白いなぁと思ってしまいました。

(トンボ科 コフキトンボ属)

カモ撮りこうちゃん