ネジバナというよりモジズリのほうがしっくりするけど!
蟹江周辺の芝生や叢を歩くと、この時期ネジバナがたくさん咲いています。
私が子供の頃にはネジバナを見たことがありませんでした。
ネジバナが咲いているのを見ると、時間の流れを感じます。
この地方にもネジバナが広がってきているんだなぁと思ってしまいます。
ネジバナは昔モジズリと呼ばれていました。
高校の時に習った「陸奥(みちのく)のしのぶもじずり誰ゆゑに、乱れそめにしわれならなくに」という歌を想い出します。
在原業平の伊勢物語の中に出てくるもので、百人一首の源融(みなもとのとおる)の歌だと言われています。
東北線の福島駅を通ったとき、信夫山の名前を見て「しのぶもじずり染め」はこの辺りで作っているのだろうかと思ったものです。
江戸時代にはモジズリと呼ばれて栽培されていました。
忍捩摺り(しのぶもじずり)に因んで、かすれた細かい捩れ模様とネジバナの花のねじれが同じと連想されていたからのようです。
モジズリ染めは福島県の信夫地方で作られていて、乱れ模様の摺り衣(すりごろも)と言われています。
こんな歴史があって、私はネジバナというよりはモジズリの方がしっくりくるのです。
ネジバナはラン科の植物で春から夏にかけて咲き、10~40㎝ほどの茎の先に咲きますが、小さい花がらせん状に並んで咲きます。
花はピンクの他に脱色型の白いものもあります。
捩れ方が右巻きと左巻きがあるようで、その比率は大体1対1といわれています。
小さなハチによって他家受粉しますが、上手くいかない時は自家受粉する仕組みを持っています。
ここでも2段構えの戦略を採っていることが分かります。
このようにモジズリは平安時代から東北独特の植物だったと思われますが、生育域が南下して蟹江でも見られるようになったようです。
そんな風情がなくなったのは、地球温暖化のためでしょうか。
(ラン目 ラン科 ネジバナ属)
カモ撮りこうちゃん