クロイトトンボはどこにでもいるわけではないらしい その1

ここ数年6月になると弥富市の「こどもの国」にクロイトトンボの写真を撮りに出かけます。

1昨年に偶然出会ったのです。

イトトンボには色々な種類がありますが、東北の方が概して多いように感じています。

でも蟹江に戻って出会ったイトトンボもいます。

蟹江周辺ではアジアイトトンボ、アオモンイトトンボはどこでも見かけますが、クロイトトンボは「こどもの国」でしか見かけていません。

「こどもの国」には、構内に幅3~4メートルほどの遊び場を取り囲む川のような浅い池があります。

大きいコイやナマズなどが泳いでいます。

看板には「池の魚類を捕ってはいけません」と記されています。

ゴミが溜まると、整美する係員がタモ網で掬って取り除いています。

田んぼの用水路では、1年で水が流れたり滞留したり干上がったりして環境が一定ではありません。

トンボなどの昆虫やナマズ、フナやメダカにとってはかなり厳しい環境です。

ところが「こどもの国」の池では環境が1年中変わらないことから、クロイトトンボも6月頃から8月頃まで発生しているのではないかと思われます。

アジアイトトンボやアオモンイトトンボに比べると、生命力が弱いのかも知れません。

「日本のトンボ」(尾園暁 川島逸郎 二橋亮 文一総合出版)には「日本全国に分布する。平地~丘陵地の周囲に樹木がある池沼や緩やかな流れ。浮葉植物や沈水植物の繁茂する環境を好む。雄は成熟すると胸部に青白色の斑紋をおびる。メスの斑紋は、緑色と青色の個体2型がある。」と記されています。

尾張周辺で色々歩き回っていますが、今のところ「こどもの国」以外では見かけていません。

また連結態で産卵している中に、メスがオスと同じ青色のものがあるかと思うと、黄色っぽいものがあり、同定しづらい感じがあります。

ただ経験的にメスの尻尾はオスのそれに比べて太いので、何となく区別しています。

イトトンボの仲間の産卵では、主に連結態で産卵するものとメス単独で産卵するものがあります。

ただ状況に合わせて単独で産卵するときもあります。

クロイトトンボは連結態で産卵しているようですが、アジアイトトンボとアオモンイトトンボは単独で産卵しています。

どうしてこんな産卵方法の違いがあるのか不思議です。

1年のこの時期にしか出会わないクロイトトンボが発生すると、時間の許す限り写真を撮りに行きたくなるから不思議です。

それを逃すと来年まで待たなければならないからです。

一期一会なんですよね。

(トンボ目 イトトンボ科 クロイトトンボ属)

カモ撮りこうちゃん