カイツブリの母性と父性について考えてみた

弥富市の三ツ又池公園でカイツブリの写真や動画を撮っていて、親子関係の疑問を感じました。

カイツブリの番(つが)いが子育てする際、オスとメスに役割があるようです。

巣で抱卵するのはメスです。

オスは発砲スチロールの箱の上の巣造り材料を持ってきてメスに渡します。

メスはその材料で巣繕いします。

ヒナが孵るとメス(母親)が面倒をみます。

ヒナは母親の羽の中に入り込んで顔を出したりします。

寒さ除けと安全を担保する最適な場所と言えます。

とても微笑ましい光景です。

ヒナたちにはオス(父親)が魚を捕ってきます。

父親が来ると母親の羽から飛び出して魚をねだります。

魚を食べさせるとまた離れていき、魚を咥えてまた戻ってきます。

時には魚が大きすぎてヒナが飲み込めないとき、親は自分で飲み込んでいました。

観察していると番いにはそんな役割分担があることが分かりました。

昨日父親が魚を咥えて巣に戻ると、巣に座っていた母親が鳴き出しました。

合わせるようにオスも鳴き出しました。

するとメスは立ち上がって水に飛び込んで、巣から離れていきました。

ヒナの2羽は巣に取り残されたままです。

私はそんな光景を初めて見ました。

するとオスが巣の近くまで来て、巣とヒナたちを見守り出しました。

巣に上がって母親(メス)同様に座り込むかと思いましたが、巣に上がろうとはしません。

ただ巣の周りで様子を伺っているだけです。

ヒナたちも水に飛び込む気配はありません。

そんなことが続きました。

主観的にはオスはメスが戻ってくるのを待っているように見えました。

しばらくするとメスが戻ってきました。

休憩していたのか、ストレスを発散しに行ったのか分かりません。

巣の近くに来ると、ヒナたちは水に飛び込んで母親の周りを泳ぎ始めました。

オスの時にはしなかった行動です。

オスは巣から離れて魚を捕りに行きました。

ヒナたちのメス(母親)に対する行動と、オス(父親)に対する行動には大きな違いがありました。

ヒナが羽の中に入り込むのはメスだけです。

スキンシップを含む具体的に構うのは母親で、父親は餌の魚を咥えてくるだけです。

父親が魚を咥えてくるとヒナがせがんでいるので、嫌っているわけではないようです。

ヒナたちにとって心理的距離は母親の方が近く、父親は遠いように見えます。

ヒナたちの母親と父親に対するこの行動の違いは、ヒナたちの母性と父性への感じ方の違いと心理的な距離感の違いを表しているように思えます。

この光景を見て人間の親子関係にも通じるその原点を見たようにも感じてしまいました。

本当かなー。

(カイツブリ目 カイツブリ科)

カモ撮りこうちゃん