ケリの親の愛情は並大抵ではないぞ!

春になるとケリの縄張りと巣がある場所近くを通ると、人であろうが車であろうがケリが威嚇してきます。

車を飛びながら追いかけて来たり、止まった車の周りで羽を広げて威嚇行動をします。

全く人間を恐れる気配はありません。

近くまで飛んで来てひゅっと反転して飛び去ります。

その後離れたところに降りて様子を伺います。

また飛び上がって鳴きながら同じ行動を繰り返します。

そのケリがヒナが孵るとヒナを守るのに一層必死になります。

ヒナは通常2~3羽孵化しますが、1羽の時もあります。

2年前、4羽いたヒナが浅い田んぼで餌取りに夢中になっていました。

田んぼの中をそれぞれが勝手に歩き回っています。

親の1羽が、田んぼの真ん中で様子を見守っています。

もう1羽は田んぼの端や畦にいて、外敵が近寄って来ないか監視しています。

カラスが近づくと、畦のケリが飛び立って追いかけます。

それでも田んぼに近づいてくると、今度は2羽になって追いかけます。

そんな時もヒナは知らん顔で、あっちに行ったりこっちに来たりと餌探しをしています。

親の心子知らずの風情です。

それほどケリの外敵を警戒していますが、数日後に行ってみると、4羽のひなが3羽になっていました。

多分襲われたのでしょう。

住んでいる団地近くの田んぼで、ケリの親子を見かけました。

5月20日だったせいか、ヒナというより幼鳥になっていました。

田植え前の田んぼを何か所か探したのですが、今年はヒナの姿を見かけなかったのです。

この場所は田んぼの3辺がコンクリートになっています。

出口は道路があるところだけです。

親鳥は飛べば他の田んぼに行き来できますが、ヒナは飛べずに田んぼからはすぐには避難できません。

いつものように田んぼの真ん中では親の1羽が見守っています。

その幼鳥は田んぼの端の叢を歩きながら餌探しをしています。

そして時々上のコンクリートの方を見上げています。

何故だか分かりませんでした。

真ん中にいたケリが飛び立って、隣の田んぼに移動していきました。

幼鳥を置き去りにして良いのかと思いましたが、そのケリは隣の田んぼで悠然と餌探しをしていました。

コンクリートの上をよく見ると、1羽のケリがいたのです。

幼鳥はその親のケリを見上げていたのでした。

私が車を停めていたからか、親が警戒音を何度も発します。

その警戒音で幼鳥は一度動かなくなりましたが、その後はまた歩き出して田んぼに出てきました。

ケリのヒナは一人立ちして飛べるまで、1カ月以上必死で守るのです。

親の愛情は人間だけでないことを強く感じてしまいました。

(チドリ目 チドリ科 タゲリ属)

カモ撮りこうちゃん