トチノキの実は昔からトチモチに利用されてきた

山形の道の駅によるとトチモチ(餅)を売っています。

一見すると素朴なモチで現代風な感じはしません。

でもこの地方の人にとっては、ありふれているものの郷土の食べ物です。

他にクジラモチ、ユベシなどが保存食や菓子として食べられてきました。

縄文人もこのトチノキの実を食料にしていたに違いありません。

山に入るといたるところでトチノキを見かけます。

葉はヤツデのように見える掌状複葉で大きく、一見するとホオノキと間違えることもあります。

春になると花が豪華に咲き誇るので、ミツバチなどが吸蜜にやってきます。

寒河江の道の駅「チェリーランド」では採集された花蜜ごとに販売されていて、アカシアと同じくらいの高級品で驚いた記憶があります。

私はトチノキといえば、なぜかハチミツ採集の箱が置いてある風景を想い出してしまいます。

トチノキの花は段階状にたくさんの花をつけて、多くのハチやアブなどを引き寄せます。

匂いばかりでなく咲き誇る豪華さで受粉を助けてもらっています。

昔からトチの実でトチモチを作ってきました。

収穫時期になると、部落ごとに収穫範囲を決めて、公平にする手続きがあったと聞いています。

水利用や柴刈りの採る範囲を決めるのと同じ扱いが、トチの実についても行われてきたのです。

このトチの実はとても大きく、実の中に2つの種が入っています。

種にはサポニンが含まれているので、その灰汁を抜く作業が大変難しいのです。

部落ごとに色々な灰汁抜き技術があるようです。

灰汁抜きには何段階かあって、作業をし終えるのに半月から1か月近くかかる工程があります。

①水に浸けて種の中の虫を殺し ②天日乾燥 ③水に戻し ④熱湯で皮を柔らかくして皮剥ぎし ⑤水で晒し ⑥茹でて木灰処理し ⑦水洗いして水で晒し ⑧もち米と一緒に蒸し ⑨搗いて栃餅にする などの順で行われています。

こうして売られるトチモチですが、素朴な味の故にたくさん売れている気配はありません。

こうした歴史や作業工程を考えられれば、美味しく感じるのではないでしょうか。

皆さんもトチモチに出会ったら、そんな想像を巡らせてくださいね。

(ムクロジ目 ムクロジ科 トチノキ属 落葉高木)

カモ撮りこうちゃん