小さいシギのトウネンが1万キロも移動するなんて!

ラムサール条約の藤前干潟近くの飛島村の田んぼには、5月上旬には何種類かのシギが見られます。

この時期にしか見られません。

ほとんどがシギの仲間で北シベリアなどに移動する途中に立ち寄っていくようです。

これらのシギの仲間には、オーストラリアや東南アジアからカムチャッカ半島のさらに北の北シベリアまで移動しているようです。

そこで産卵・育雛して、秋には幼鳥を連れて、今度は東南アジアやオーストラリアに戻ってきます。

その途中の春と秋に見かけることができるのです。

そんなシギの仲間にトウネンがいます。

5月7日に飛島村の松之郷で、雨が降っている日に、田植えが終わった田んぼでトウネンを見かけました。

2羽だけでした。

他のシギの場合も数十羽の群れでない時には大体2羽でいることが多いようです。

トウネンの名前は前から知っていましたが、実際に見たのは初めてでした。

大きさはスズメより少し大きく、首のあたりが茶色で可愛い感じのシギです。

余り嘴は長くありません。

田んぼを動き回って地面を突いていましたが、その後は動かないでその場で啄んでいました。

翌日には見かけませんでした。

移動して行ったと思われます。

「日本の野鳥」(叶内拓哉 安部直哉他 山と渓谷社)では「以前は万単位の群れが見られたことがあったが、近年では数百羽のことが多い。干潮時の干潟、休耕田の水深が浅い場所や、乾きかけた泥地などで、嘴を下に向けたまま忙しく歩き回り、多くは地表面の甲殻類や貝殻、昆虫類の幼虫などをとる。」と記されています。

環境破壊などによって数が減少していることが予想されますね。

こんな小さい体で寝場所も一定ではなく、天敵の危険がありながら、その場その場の餌に頼って1万キロの旅をする意味があるのかと思わずにいられません。

目的地について産卵・育雛して2~3か月後にはまた戻ってくるのですから。

往復で2万キロを超える旅を生涯続けているトウネンの生命力に感嘆しない訳にはいきません。

(チドリ目 シギ科)

カモ撮りこうちゃん