ナノハナの吸蜜と産卵を使い分けるツマキチョウ その3
永和の雑木林でツマキチョウを見かけたのは4月8日でした。
最後に見かけたのは4月22日で、ほぼ2週間の成虫期間でした。
一昨年日光川の土手で飛んでいるのを見かけてから、昨年この雑木林でも見かけるようになりました。
他では見ていないのでとても貴重なチョウだと思われます。
モンシロチョウに似ているので、一般の人はモンシロチョウだと思ってしまうでしょうね。
幼虫の食草はタネツケバナ、イヌガラシやショカツサイなどのアブラナの仲間で、ナノハナもその中に入ります。
春になるとこの雑木林の縁はナノハナが道に沿って咲き出します。
そこにモンシロチョウ、アゲハチョウやアオスジアゲハもやってきます。
その中にツマキチョウも含まれます。
「その2」でも書きましたが、ツマキチョウがナノハナの吸蜜に来ている時に、ある時に尻尾を曲げて産卵しているような仕草をするときがありました。
なぜだろうと不思議に思っていたのです。
4月22日にはメスのツマキチョウしか飛んでいません。
成虫の発生期間が終わる時期なので、このメスは子孫を繋げないだろうと思いました。
メスは吸蜜にナノハナの花にとまっては、また他のナノハナに移動して行きます。
その時蕾のあるところに立ち寄って尻尾を曲げています。
産卵しているようです。
既に交尾していたのかも知れません。
また飛び立って花に行き、今度は吸蜜しています。
吸蜜と産卵を同時に行っているようです。
しかも吸蜜はハナビラが開いているところで、産卵は蕾の所と使い分けています。
蕾はこれから花が咲くので生き延びやすいのでしょう。
卵が孵化する時間を考えると、先端部の花が終わる場所よりは合理的です。
モンシロチョウはキャベツ畑で産卵する時、花が咲いていないのに飛び回って産卵に専念します。
吸蜜の時は花が咲いているところまで移動して吸蜜するようです。
ツマキチョウはそれとは違って、吸蜜と産卵を同じ場所で行っているようです。
とても合理的な行動です。
モンシロチョウもナノハナに吸蜜に来ますが、産卵している様子は見たことはありません。
産卵習性が異なるようです。
ツマキチョウがどこの場所で産卵するのか、ずーっと疑問に思っていたのですが、この個体維持と種族維持を同時に行っていることに驚きました。
産卵の条件が主に蕾だと確認できました。
その吸蜜と産卵場所を区別できる能力には驚くばかりです。
また来年、ツマキチョウに会えることを期待しています。
(シロチョウ科 ツマキチョウ属)
カモ撮りこうちゃん