なぜか気になるヤドリギ

ヤドリギというと場末のスナックの情景を思い起こします。

店の看板がヤドリギとあって、寄り道したくなる雰囲気が醸し出されているように感じるのです。

ヤドリギは木々のところどころに、丸みを帯びたマリモを大きくした感じで生えています。

山形から鶴岡に向かう月山新道(国道112号)を走ると、そんなヤドリギが見られます。

ある年(2015年)の冬に落葉したブナの木に寄生しているヤドリギを見かけました。

ブナの大豊作の年で、ヤドリギが寄生する木々はブナの実をたくさんつけていました。

ヤドリギは寄生植物で、種を鳥たちに遠方まで運んでもらって拡散する戦略を採っています。

その実はネバネバした果肉があり、糞として出ると粘着性の性質で木々にくっついて、そこで発芽し根を植物の茎に食い込ませて栄養を奪い取る生き方をします。

ヤドリギはギンリョクソウのように全体が白くなく、薄い黄緑色をしています。

その様子から葉緑体があって光合成している可能性があります。

すべてを寄生する木に依存するのではなく、自分でも成長するためのエネルギーを作っているようです。

生存戦略として二段構えの戦略のように思えます。

岐阜県海津市のハリヨ公園には、ヤドリギに寄生された木々がたくさん見られます。

1本の木に何個かのヤドリギがついています。

鳥たちが実を食べて糞を出す際、近くの木々で糞をすることが多いことから、近くにヤドリギがたくさんあるのでしょう。

「野鳥と木の実ハンドブック」(叶内拓哉 文一総合出版)には「落葉広葉樹のサクラ、ケヤキ、エノキ、シラカバなどに寄生する植物である。 ~中略~ 食べるのは主にレンジャク類。ヒヨドリやムクドリも食べるが、せいぜい1粒くらい。」と記されている。

確かに実がたくさんなっているのに、春までに食べ尽くされる気配はありません。

見た目より美味しくないのではないかと思われます。

そのヤドリギを拾ってきて触ってみましたが、葉が少しゴムのような感じで、すぐ枯れる様子はありません。

実も見た目は美味しそうに見えました。

ネバネバした果肉が、他の鳥たちには好まれないのではないかと思いました。

(ビャクダン目 ビャクダン科 ヤドリギ属)

カモ撮りこうちゃん