昔から馴染みのあるホオノキ

山の中に入ると大きな葉をつけた木を見かけます。

同じ輪状になった葉のトチノキよりも大きく存在感がある木だと思います。

これがホオノキです。

ホオノキは小さい時から、木そのものは知りませんでしたが、ホオバの下駄や、版画の材料だと知っていました。

キリの下駄が高級品だったのに比べて、日常使う下駄の主な材料がホオノキだったのです。

また岐阜県飛騨地方ではホオバ味噌が有名で、小さい七輪の上の金網にホオノキの葉を敷いて、そこに味噌と色々な具材を混ぜて焼きながら食べる郷土料理があります。

昔飛騨高山で肉入りのホオバ味噌を食べた記憶があります。

ホオノキはモクレン科で原始的な花の構造を持っています。

花は子孫を繋ぐために葉を変化させたものです。

ハナビラが葉の互生のつきかたと同じらせん状だったり、ハナビラとガク片の区別がないなどの特長があります。

ホオノキの花は白く大きいので、山道を歩いていくととても目立ちます。

大きな葉と大きな花がとても美しく感じます。

トチノキほどではありませんが、町中で見かけることもあります。

天童では舞鶴山の駐車場近くの芝生にも何本か植えられています。

同じモクレン科の仲間にタイサンボクがあります。

タイサンボクは葉の表面がテカテカ光っていてホオノキと同じ白い大きな花を咲かせます。

そこで庭木として植えられていますね。

平成5年には宮城県では1~2月にかけて真冬日が数日間続きました。

その結果、家々の庭のタイサンボクが枯れてしまったのをなぜか想い出しました。

春の山に入ってホオノキの芽吹き時期になると、その枝を切り取ってきて、大きな鉢に活けたことがあります。

とても華やかで、それでいてシンプルで春の風情を楽しむことができました。

そんなことができるのも東北ならではだと思います。

晩秋に山道を歩くと、大きなホオノキの枯れ葉がたくさん落ちています。

もうじき冬が来ると感じさせてくれます。

ホオノキの木の下を通ったら実が落ちていました。

花の中心部だった雌しべのところが、実となって落ちているのです。

その実には濃い橙色の種がいくつも入っていました。

昔の人たちはホオノキの木の特性や葉の大きさを利用して、日常生活に役立てていたことがわかります。

私たち現代人は自然と関わり合いながら生きるという原点を忘れかけているのではないかと思ってしまいました。

(モクレン科 モクレン属 落葉高木)

カモ撮りこうちゃん