ケリの肝っ玉母ちゃんの子育て
4月末になると、蟹江周辺では耕運機で田んぼの田起こしをします。
この辺りでは5月末から田植えが始まります。
飛島村では早生のコシヒカリを植えるので、時期はもっと早くなります。
その田起こしした田んぼや、水を張った田んぼでケリを見かけます。
ケリは田んぼの畦やその脇の叢で産卵しますが、卵から孵ったヒナたちはすぐに、田起こしした田んぼの中を餌を求めて歩き回ります。
大体ヒナの数は3羽前後が多いようですが、一番多い時は5羽くらい見かけました。
私の住む団地近くのその田んぼで2羽のケリを見かけました。
カラスが田んぼに飛んでくると、ケリが飛んでいって攻撃します。
そのケリは田んぼの端で周囲に注意を払っている1羽です。
もう1羽は田んぼの中にいます。
2羽は番いだと思われます。
普通ならカラスを攻撃することもないし、戻ってくることもないのに戻ってくるのです。
キジバトが田んぼを横切っても、ケリの1羽が攻撃しに行きます。
その様子からこの田んぼにはヒナがいるに違いないと思ったのです。
でも最初はなかなか分かりませんでした。
乗っていた自転車を停めてよく観察していると、小さな灰色でまだらのヒナが3羽、泥だらけの田んぼの中を歩き回っているではありませんか。
ヒナたちは下を向きながら餌を探しています。
天敵がいることなどお構いなしです。
あっちにいったりこっちに行ったりしています。
ケリの親は気が気でない風情です。
ヒナの1羽が私の近くに来た時、ケリの親(母親?)が、私とヒナの間に入り私をじっと見つめていました。
田んぼの端にいたケリは私の近くまで飛んで来て、威嚇していました。
突くことはなかったものの危険を感じたものです。
この経験から、ケリが田んぼにいて他の鳥が近づくと追いかける行動をするときはヒナが近くにいると思うようになりました。
こうしてヒナを守る行動は、ヒナが飛べるまで2ヵ月くらい続きます。
その間の心労は大変だろうなと予想してしまいます。
観察していると、人間の親より忍耐強いのではないかとさえ思ってしまいました。
いつもフラフラしながら餌探ししているヒナですが、親が警戒音を発すると、屈んだり動かなくなったりします。
また親の後をついていったり、場合によっては親の羽の下に入り込みます。
その行動を見ていると、警戒音といっても色々な種類があるに違いないと思ってしまいました。
春が来ると、ケリの子育て場面にまた出会えるのではないかと楽しみになってきたものです。
(チドリ目 チドリ科)
カモ撮りこうちゃん