春の山麓で見かけるアズマイチゲ

東北の春といえば、枯れ草が残る叢(くさむら)に野草の花が咲きだし、木々の新芽が萌え始めると春が来たのを実感します。

花の中で目につくのは群生するニリンソウがすぐ思い出されますが、アズマイチゲも負けてはいません。

存在感から言えば、アズマイチゲの方がニリンソウより大きいように思います。

その理由はその花の花弁(実は萼片)が12~13枚と多くしかも清楚な感じが、ニリンソウよりは勝るような気がするからです。

ニリンソウもアズマイチゲもキンポウゲの仲間です。

ニリンソウは春の山菜として利用されていますが、私はキンポウゲの仲間は毒草の仲間と考えていて、食べる気はまったくしません。

キンポウゲの仲間の葉は、オダマキにしろキクザキイチゲ(キクザキイチリンソウ)にしろ葉が切れ込んでいるので、野山を歩き回っていると何となく分かるようになります。

だからニリンソウと猛毒のトリカブトの出始めた葉を間違って食べてしまうような事故があるようです。

とにかくキンポウゲの仲間は食べてはいけないと思っています。

アズマイチゲのアズマは東日本に自生するからだと言われていますが、実際はどの地方でも見られます。

またイチゲとは茎一本に一つの花が咲くという意味です。

花に見えるのは萼片(がくへん)で花弁(はなびら)ではなく、ハナミズキやヤマボウシの総苞片と同じようなものでしょうか。

アズマイチゲも春の妖精(スプリング・エフェメラル)の仲間で、春の数週間だけ咲いて子孫を残すと、次の春まで地中で休眠します。

その意味でも可憐な花です。

アズマイチゲに似たキクザキイチゲの区別が、長い間分かりませんでした。

見た瞬間に区別できるようになったのはここ最近です。

違いは、キクザキイチゲは花が白ばかりでなく赤紫色があることと、葉は3個輪生しているところは共通していますが、葉の形の切れ込みが違うことです。

私の経験では生息場所も違いがあります。

天童市街を外れた叢にはアズマイチゲしか咲いていませんが、それよりは高い天童高原の入り口や白水川ダム近くの斜面ではキクザキイチゲしか見当たりません。

二つが混在して咲いているのを見ていません。

棲み分けをしているようなのです。

アズマイチゲについて詳しく分かっていませんが、知ることから始まり、だんだんと彼らの生き方を知っていくのも楽しみと考えています。

(キンポウゲ科 イチリンソウ属)

カモ撮りこうちゃん