春の野草の1つフクジュソウ
小さい頃、年末になると花屋や露店でフクジュソウ(福寿草)を植え込んだ鉢を売っていたものです。
その鉢植えのフクジュソウは咲きかけの蕾で、正月には咲くように設定されているようでした。
毎年見かけるので、正月用にフクジュソウを栽培しているのでしょうか。
年末の風物詩の1つとして想い出されます。
山形の天童周辺で、春先にフキノトウ、キクザキイチゲ、マンサク、アズマイチゲ、キバナノアマナ、ショウジョウバカマなどを探して歩き回っていました。
3月末に若松寺(若松観音)に向かう道路の左側の民家脇で、叢と土手で偶然フクジュソウを見かけました。
一輪二輪という数でなく、群生して生えていました。
花の蕾も硬いものもあったり、もう咲いている株もありました。
野生のフクジュソウを見たのは初めてで、感激してしまいました。
福寿草は虫媒花なので、花粉を運ぶ昆虫などが必要です。
こんな残雪の寒い季節に昆虫などがいるのだろうかと不思議に思って、咲いている花のいくつかを観察してみると、いたのです、小さいアブか甲虫のような虫が花の中で動いていました。
こんな時期に昆虫がいることに驚きました。
その後も訪れて観察し、どんな実がなるのかも初めて知りました。
寒い時期に花を咲かせるフクジュソウは、子孫を繋ぐために昆虫に受粉して貰わなければなりません。
また寒さ対応も必要です。
陽射しが強い日中に花を開いて昆虫を呼び集め、夕方には花を閉じて気温の低下から花を守ります。
つまり花粉や雌しべが破壊される対策を採っているのです。
そんな生態的な仕組みで生き延びてきたのですね。
この時期には数株だけで咲くもの、土手で群生して咲くものなど野生のフクジュソウを色々なところで見かけます。
そんな時東北の自然の深さを感じるのです。
フクジュソウはキンポウゲ科の仲間です。
私はキンポウゲの仲間は毒草だと思い込んで食べないようにしてします。
「気をつけよう 毒草100種」(中井将善 金園社)には、「全草に強心配糖体のシマリンやアドニトキシンを含み激しい薬理作用として、誤食すれば嘔吐をはじめ呼吸困難やがて心臓マヒを起こして死亡します。早くからジキタリスの代用として強心薬として利用されています。」と記載されています。
私たちは薬と毒は全く違うものと理解していますが、薬の薬理作用を利用すると同時に、毒の副作用とのバランスを考えなければなりません。
痛み止めの薬を貰うと、胃腸薬を処方されるのも、副作用との関係でしょう。
薬とは毒なんだよなーと考えてしまいました。
(キンポウゲ科 フクジュソウ属)
カモ撮りこうちゃん